シアトル発--Microsoft会長のBill Gatesは米国時間25日、当地で始まった「Windows Hardware Engineering Conference」(WinHEC)で、コンピュータメーカー向けに次期Windows「Longhorn」のプレビューを行った。この講演のなかで同氏は、Longhornに搭載される主要機能の多くが明らかになるのは、ずっと先のテストバージョンになることを認めた。
「われわれにとって、Longhornは大きな投資だ」とGatesは述べ、同社の社員に改良された検索機能や印刷機能などを披露させた。Gatesはこの検索機能について、同社が全く新しいファイルシステムの開発を延期したため、社外の人々はファイルの保存/検索方法が劇的に改善するわけではないと誤って思い込んでいると述べた。しかし、Gatesによると、Microsoftは全く新しいデータベース構造に移行しなくても、ファイルのインデックス付けを改善することで、同様の機能の多くを実現できるという。
しかしながら、Gatesが披露した機能の多くは、WinHEC参加者に配られた最新版の「デベロッパープレビュー」バージョンには反映されていない。今年夏に出される最初のベータ版には、新機能のごく一部が含まれるだけで、大半の新機能が揃うのはその次のベータ版になる可能性がある。Microsoftはセカンドベータの投入時期を明らかにしていないが、Gatesによると、同社では依然として来年の年末商戦にLonghorn搭載PCが店頭に並ぶようにすることが目標であり、このスケジュールに間に合うよう最終版を出荷することに重点が置かれているという。
「こうしたデモを見ると、『よし、Longhornを完成させよう』という気持ちになる」とGateは述べた。しかし同氏は、品質が最優先事項であることには変わりないとし、テスト中に問題が生じればLonghornの開発予定がさらに変更される可能性があると注意を促した。
Envisioneering GroupのアナリストRichard Dohertyは、ハードウェアメーカーが、高度なグラフィック機能などLonghornの新機能を最大限活用するために必要とするものについて、Gatesの説明が曖昧すぎると指摘した。たとえば同氏は、Longhornの推奨環境について、最近の推奨システム情報を繰り返し、512MBのメモリと今日のレベルのプロセッサ、そしてLonghorn用ドライバが付属するグラフィックカードを含むシステムと述べただけだった。
「これでは本当のガイダンスとは言えない」とDohertyは述べ、さらにGatesは来年の年末商戦にLonghorn搭載PCを間に合わせるために、ハードウェアメーカーに今すぐ行動を開始させる動機付けも十分に提供していないと付け加えた。
Gatesは、Longhornのリリースに合わせ、Microsoftがこれまでで最大のマーケティングキャンペーンを展開することを約束した。なお、Microsoftでは、現行バージョンの各Windowsの性能を宣伝する「Start Something」という先行キャンペーンの計画を先ごろ発表した。
同社は、Longhornでドキュメントの印刷と共有に利用する新しいXMLベースのドキュメントフォーマット(開発コード名:「Metro」)のデモを行った。Microsoftによると、Metroをサポートしたプリンタでは、Longhornで作成したドキュメントをさらに高速かつ忠実にレンダリングできるようになり、ファイルは作成したアプリケーションがなくても共用できるようになるという。
このドキュメントフォーマットは、現在最も人気の高いAdobeのPDFフォーマットと直接対決を演じる可能性が高い。Microsoftの発表は「Adobeに大きな不安をもたらすはずだ」とDohertyは語った。
しかし同氏によると、これは同時に、定評のあるライバルに取って代わろうというMicrosoftの「いちか、ばちか」の賭けでもあるという。「これは大きな賭けだ」(Doherty)