CNET News.comが入手した情報によると、MicrosoftのSteve BallmerとRed HatのMatthew Szulikが、ニューヨークで秘密裏に話し合いを行っていたという。これは、両社の関係改善が進んでいることを示すものといえる。
この件に詳しい情報筋によると、両社のCEOは、3月下旬にニューヨークにあるMcCormick and Schmick'sというレストランで1時間以上にわたって会食したという。この会食はMicrosoftの方から呼びかけたものだと、ある情報筋は示唆している。
Red Hatはこの件についてコメントを差し控えた。しかし、Microsoft会長のBill Gatesは、米国時間9日に行われたインタビューのなかで、BallmerとSzulikの会合についてはコメントしなかったものの、Microsoftがオープンソース企業との話し合いに興味があると述べていた。
Gatesは「営利追求型の事業を検討している(オープンソース)ベンダーがいくつかある。そのようなところとは、確実にある程度時間を割き、共通点を見つけ出して、顧客のために協力できることを検討していく」と語った。ただし、同氏によると「重大な新しい展開があるわけではない」という。
Microsoftは概して、基盤となるソースコードを厳重に管理できるプロプライエタリなソフトウェアを好んでいる。一方、Red Hatでは、ソースコードを自由に参照し、修正して、だれでも再配布できるオープンソースプログラムを支持している。同社の主力製品であるRed Hat Enterprise Linuxは、市販パッケージになったオープンソースプロジェクトのなかでおそらく最大の成功例といえるだろう。
Microsoftは今のところ、その攻撃的な競争心を弱める兆候は見せていない。だが、同社はこのところライバル各社との協力に前向きな姿勢を見せており、なかでも2004年4月にそれまで独禁法違反を巡って争っていたSun Microsystemsとの訴訟を和解させたことは最も有名な例だ。この和解は後に、特許の相互共有や両社製品の相互運用性実現の取り組みにつながっている。
Microsoftはさらに、ソフトウェアメーカーのBurst.com、Novell、Time Warner子会社のAmerica Onlineと争っていた独禁法関連の訴訟でも和解している。
オープンソースソフトウェアは、かつては脇役に過ぎず、関心を寄せるのはもっぱら学生や技術者だった。だが現在では、企業がその開発を支援するケースも多く、複数のオープンソースプロジェクトが侮れない存在となっている。
Apache、MySQL、JBossなどのサーバソフトウェアは、Microsoftの製品と直接競合しており、またデスクトップ用ソフトでもOpenOffice.orgなどが競合関係にある。
競合する企業のトップ同士が会談することは、まったくの前代未聞というわけではない。しかし、MicrosoftとRed Hatは単なるOS分野での競合同士というだけでなく、ソフトウェアの哲学に関する問題でも対立している。
Microsoftは、活発な開発者コミュニティを擁するという考えをすでに受け入れている。だが、同社には、Linuxの基盤となるGeneral Public License(GPL)を長年にわたって批判してきたという過去がある。同社の幹部らが、GPLを「パックマンのようだ」「癌だ」と呼んだこともあった。同ライセンスでは、GPLプログラムから派生したアプリケーションにもGPLの適用が求められるが、Microsoftや他の企業がこの点について「ウイルスのようだ」と評したこともあった。
このように、過去に何度もオープンソース陣営を攻撃したことがあるMicrosoftだが、ここ数年は対決姿勢を若干弱めてきている。同社は、直接的な攻撃を加える代わりに、オープンソースソフトウェアよりも自社のソフトウェアのほうが、コストや機能、法的保護の点で勝っているという主張を、同社の「Get the Facts」キャンペーンを通じて広めようとしている。
これに対し、Red Hatのほうも手加減はしていない。
2001年に、当時同社の最高技術責任者(CTO)を務めていたMichael Tiemannは、Microsoftによるソースコード共有の取り組みをからかったことがあった。同氏はこの時、Microsoftはこの取り組みでオープンソース/フリーソフトウェア・ムーブメントの原則の一部を真似しようとしているが、しかしプログラマーに対してはソースコードへの権利をあまり与えないことも多いと述べていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ