オープンソースおよびネットワーク企業Novellの最高経営責任者(CEO)は米国時間12日、Windows XPからWindows Vistaへの移行費用を割高と感じる多くの企業が、デスクトップLinuxへの移行を真剣に検討するようになるだろうと述べた。
NovellのCEO Jack Messmanは、バルセロナで開催中の「Brainshare」で、デスクトップをWindowsの次期バージョンに移行する際にかかる費用は、Linuxに移行する費用に比べ、かなり割高になると発言した。Brainshareは、欧州のユーザー向けに同社が毎年開催するイベントである。
「Windows XPからWindows Vistaへの移行費用は、Linuxへの移行費用に比べて高い。そのため、Linuxへの移行が促進されるだろう」とMessmanは述べた。
Novellによると、同社は欧州のデスクトップ市場において成果を上げており、多くの企業が同社の「Linux Desktop」製品を選んでいるという。この傾向は、機能が限定されたクライアントを必要とする業界で顕著だという。
「『1つですべてに対応可能』というアプローチとは違い、Novellのデスクトップ向け製品はカスタマイズ可能なので、企業内の異なるワークステーションに適切に導入できる」とNovellのオープンソースプラットフォーム担当ゼネラルマネージャDavid Patrickは述べ、「したがって、企業は、Windowsの代わりに、安全で費用効率の高い製品を手にすることができる。それは、プロプライエタリなライセンスプログラムによりベンダー側に貢献するのではなく、費用対効果で顧客側に貢献する製品である」と付け加えた。
Messmanは、デスクトップLinuxへの移行は、費用面でもさることながら、機能面でもメリットがあることも付け加えた。Messmanは、「Microsoft Office」に比べ、NovellのデスクトップLinuxが持つ機能が少ないという点は、実は欠点ではなく、むしろ長所であると主張した。
Messmanによると、Microsoft製品が持つ機能の一部により、従業員は仕事と関係のないサイトを閲覧することができるが、このことが作業時間の浪費につながっているという。「従業員の注意を散漫にし、生産性を低下させるWindowsの不要な機能に、お金を本当に払いたいと思うだろうか?」(Messman)
独ミュンヘン市は、デスクトップPCのLinuxへの移行を、当初の計画より1年延期し、2006年に実施することを決定した。同市は、オープンソースオペレーティングシステム(OS)の導入を決めてから3年後に、ようやく計画を実行することになる。このニュースに関して、Novellの欧州担当ゼネラルマネージャVolker Smidは、この後退が一時的なものだと思うと述べた。「私は、たとえ何があっても、ミュンヘン市が目的を達成すると確信している。またサーバ側の移行に同市がNovellを選んだことを誇りに思う」(Smid)
Novellのデスクトップ版Linuxパッケージに移行した企業として、エストニア最大の銀行であるSEB Eesti UHispankがある。同銀行は、テラー業務を支援するワークステーションにNovellのSUSE Linuxを使用している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ