Microsoftは依然として「Windows Vista」を強く推進している一方、ひそかにVista搭載マシンを購入したユーザーが「Windows XP」に変更したい場合には、コンピュータ製造業者がユーザーに「ダウングレード」オプションを提供できるようにしている。
ダウングレードプログラムはWindows Vistaの「Business Edition」および「Ultimate Edition」のみに適用され、XPにダウングレードできる場合の方法についてはコンピュータ製造業者に一任されている。富士通は非常に積極的であり、8月からXPのディスクを同社のノートPCやタブレットPCに同梱するオプションを提供している。
「これは小中規模企業にとって救いの手になる」と富士通のマーケティング担当マネージャーであるBrandon Farris氏はCNET News.comに対して語った。
Hewlett-Packard(HP)も、8月に多くのビジネス向け機種でダウングレードプログラムを開始した。「企業向けのデスクトップPC、ワークステーションおよび上位機種のビジネスノートPCおよびタブレットPCでは、顧客は無償またはわずかな費用でXP Proのリストアディスクを含めるようにシステムを構成できる」と、HPの広報担当者であるTiffany Smith氏は電子メールで述べた。しかし、顧客の関心の高さがどの程度かを判断するのは時期尚早であるとSmith氏は語る。「プログラムの提供を開始して約1カ月に過ぎないので、要求されても提供できる情報が何もない」
Microsoftの関係者は、2007年の夏に、顧客がXPにダウングレードしやすくするための変更が実施されたと認めている。同社のVistaライセンス契約では、Vista Business EditionおよびUltimate Editionの購入者はXPへのダウングレード権を有しているが、実際に行使するには困難な場合がある。Microsoftは6月に方針を変え、アクティベート前のVista搭載マシンを販売するコンピュータ製造業者に対して、PCに同梱または追加のアクティベーションなしで顧客に出荷できるXPのディスクを注文できるようにした。しかしMicrosoftは、同社もコンピュータ製造業者も「エンドユーザーのライセンス契約のもとでは以前のバージョンを供給する義務はない」と声明で述べている。
新しいOSの登場時には移行を渋るユーザーが一部に存在するのが常であるが、特に企業ユーザーの間ではいまだにXPに対する強い需要があるようだ。
企業と消費者の両方にとってハードルの1つは、Vistaが要求するグラフィックとメモリに対する要件の高さである。
Lenovoは「IBM ThinkPad」ウェブサイトに独自のダウングレードプログラムの詳細を掲載している。
Dellの広報担当者であるAnne Camden氏によると、同社はPremier Pageを持つ企業に対して、XP、VistaまたはXPへのダウングレード権付きのVistaを搭載したシステムを注文できるオプションを提供しているという。ダウングレード権に対して追加の費用かかからない。
HP、Gatewayやその他の製造業者も、Microsoftが企業向けにVistaの提供を開始してから1年近く経過した現在、いまだにXPを搭載したマシンを販売している。Vistaは1月に消費者向けに一般発売されたが、その時点でXPは小売店からほとんど姿を消した。
しかし、XPに対する需要はいまだに根強い。Dellは4月、消費者向けPCについてもXPをオプションとして復活させた。
ただし、コンピュータ製造業者が今後いつまでWindows XPをプレインストールしたマシンを販売できるかという問題がある。Microsoftは大手コンピュータ製造業者に対して、XP搭載システムの販売を2008年1月31日に終了するように要求しているが、一部の製造業者はその後もXP搭載マシンを販売したい考えだ。
「われわれはそれを要求して働きかけている」とFarris氏は語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ