Microsoftが広く普及した「Windows XP」の一般販売を米国時間6月30日に停止するという単なる事実が、ここ数カ月間、あちらこちらで話題になっていた。
そこでわたしは、同じ話題を蒸し返すよりはむしろ、Windowsの展望を見てみようと考えた。
当面の問題は、Windows XP退場後の「Windows Vista」の位置づけである。
プラス面について言えば、Microsoftによると、Vistaは1億4000万本を売り上げている。しかし、わたしが以前述べた通り、この数字は、純粋な需要を示しているというよりも、この18カ月の間に新しいPCを欲しいと思った人の人数によるところが大きい。
一方、使用するOSの選択に着手している企業は、圧倒的にXPにこだわっている。Vistaを実行している企業マシンはごくわずかで、社全体でのVistaの配備をまったく予定していない企業もある。
個人ユーザーの間でも、Windows XPはいまだに人気がある。企業、個人ユーザーが皆、XPを気に入っているのならば、いったいなぜMicrosoftは販売を停止するのか。
それにはいくつか理由がある。1つは、XPが登場から7年たっているということだ。たとえ「Windows XP Service Pack 2」で大々的なセキュリティの強化が行われたとしても、企業はより安全なWindows Vistaに移行した方がメリットがある。
また、Microsoftにとっては、できるだけ早くVistaを普及させる基盤を築くことも重要だ。Vistaが積極的に使われているマシンの大部分を占めるまで、開発者はVistaに依存するアプリケーションの開発に取りかからないためだ。たとえ1億4000万本のVistaが販売されているとしても、依然として、Vistaの機能を本当に活かすプログラムは極めて少ない。
また、Microsoftはぎりぎりまで待っていたが、とうとうVistaの次のOSについて話し始めた。開発責任者のSteve Sinofsky氏は、5月のCNET News.comとの独占インタビューで「Windows 7」はVistaと同じドライバを使用し、Vistaのように大きな変化を投入することよりもむしろ互換性を維持することを主に目指していると述べた。
「D: All Things Digital」カンファレンスで、Bill Gates氏とSteve Ballmer氏は、Appleの「iPhone」、Microsoftの「Surface」コンピュータに見られるのと同じようなジェスチャーが可能なマルチタッチ入力を使用できるWindows 7の一面を披露した。
しかし、始めから構築しなおす代わりに、Windowsを塗り替えるのはもうやめるときだという議論もある。このOS用に膨大で圧倒的な数のプログラムが書かれているが、これらすべての互換性の維持に時間を費やすことが足かせとなり、革新のみならず、ソフトウェアのアップデートさえますます難しくなっている。