マイクロソフトは4月24日、中古PC向けに、正規のWindows OSをライセンス提供する「Microsoft Authorized Refurbisher(MAR)プログラム」を開始すると発表した。
これは、一定の条件を満たし、同プログラムに参加している再生PC事業者(中古PC販売業者)が販売する中古PCに対し、Windows OSのセカンダリライセンスを提供するプログラム。正規のライセンスを受けたWindows OSがプレインストールされている中古PCの販売、購入がより容易になる。同プログラムは既に米国で実施されており、日本以外のカナダ、オーストラリア、オランダでも年内に順次導入される予定という。
従来、オーナーから業者に売られた中古PCは、データ消去、再生処理などが行われ、多くの場合、正規のOEMライセンスを受けたOSなどもハードディスク上から消去された状態(Naked PC)で再販される。その際、買い取りの段階で正規の再インストール用Windows OSディスク、およびCertificate of Authority(COA)ラベルが完備されている場合には、中古販売店、もしくは中古PCを購入したユーザーがOSを再インストールすることで、新オーナーも、ライセンス上問題なくWindowsが利用できる。しかし、紛失などの事情でディスクもしくはCOAラベルのいずれかが失われた状態で再販されたNaked PCでWindowsを利用する場合には、ユーザー側でPCメーカーから再インストール用CDを取り寄せるか、新規ライセンスを含むWindowsパッケージを新たに購入し、再導入する必要があった。
この新たなWindowsをインストールする過程で、海賊版の利用によるライセンス違反や、マルウェアの混入といった問題も起きていたという。マイクロソフトでは、MARプログラムの導入によって、不正ソフトウェア防止対策を行うと同時に、ユーザーの利便性向上による中古PC事業の活性化、産業廃棄物抑制やCO2排出削減への貢献が可能になるとしている。現在の中古PC市場における、Naked PCの割合は約7割にのぼるという。
MARプログラムに参加できる再生PC事業者の条件としては、「再生PCの大規模な販売実績を保有」「適切なPCの再生プロセス、流通、販売に関する専門的な知識の保有」「安全や環境基準に関する法規制の順守」などが設定されており、4月24日時点で、アンカーネットワークサービス、川上キカイ、ソフマップ、ティーズフィーチャー、デジタルリユース、東電環境エンジニアリング、パシフィックネット、ブロードリンク、ヤマダ電機の9社の参加が発表されている。
また、MARプログラムの対象となる中古PCの条件は、再生企業による適切なデータの完全消去、動作検証、故障修理が行われた上で、PCの初期出荷時点で添付された、正規の「COAラベル」が添付されていることが必要になる。
MARプログラムに基づいて、新規ライセンスが付与された再生PCには、新たに、再生PC事業者名が記されたセカンダリライセンス用のCOAラベルも添付されて、市場に流通することになる。セカンダリとして提供されるWindowsのバージョンは、「Windows XP Professional Edition」「Windows XP Home Edition」の日本語版、英語版、中国語版となる。エディションは、プライマリライセンスのエディションに準ずる。セカンダリライセンスとともに出荷された中古PCには、マイクロソフトによる有償サポート、再生PC事業者によるサポートが提供される。
ゲストとして登壇した、一般社団法人中古情報機器協会(RITEA)で常務理事・理事局長を務める小澤昇氏は、「一部の中古品市場に残っている、不正コピー使用等のマイナスイメージを払拭することで、中古・再生PCの下取り売却が容易になり、新製品への買い換え促進に貢献できる」として、MARプログラムへの全面的な賛同の意を示した。