数年前であれば、他社のソフトウェア製品ラインを新たに取得した企業が初めて取り組む事柄として、それまで機密としていたソースコードを一般公開するというのは、きわめて異例なことだった。
だが、2006年1月1日にプロジェクト管理ソフトウェア「Project.net」を取得したIntegrated Computer Solutionsは今週、まさにそうした発表をした。今日ではこれはごく当たり前の傾向になっている。オープンソースソフトウェアは日増しに一般的なものになっているばかりでなく、ソフトウェアの基本的な取り扱いに厳密な規定を設けている、競合のプロプライエタリ企業に対する優位を得る手段としても、積極的に利用されるようになっている。
1990年に、デジタルドキュメント管理用のプロプライエタリソフトウェアを提供するDocumentumを設立したJohn Newtonは、「今とるべき道は、オープンソースしかない。これこそソフトウェアの未来の姿だ。オープンソースに向かう流れは止められない」と話している。Newtonは現在、20名の従業員を抱えるロンドンの新興企業AlfrescoでCTOを務め、同様の分野に取り組んでいるが、以前と異なるのは、今では同氏がオープンソースソフトウェアを扱っているという点だ。
マサチューセッツ州ベッドフォードに拠点を置くIntegrated Computer Solutionsは、米国時間2月14日および15日にサンフランシスコで開催される「Open Source Business Conference」にあわせて、今回のオープンソース化に関する発表を行った。同カンファレンスは、LinuxやApacheなどの初期に成功を収めたオープンソース製品より高次元な製品を提供している、新しいタイプのオープンソース企業の注目を集めるようになっている。
Alfrescoはカンファレンスで、競合企業であるInterwovenの前エンジニアリング担当バイスプレジデントKevin Cochraneを、3名のエンジニアとともに雇用したことも明らかにした。さらに、同社のソフトウェアのバージョン1.2も発表されている。同新版には、ディレクトリシステムと連携して誰がどの情報にアクセスしたかを把握したり、オンライン会議を行ったり、関連するJava標準に準拠したりするための機能が追加されている。
NewtonはCochraneを迎え入れたことに関して、「彼は商用ソフトウェアが目指している方向性にいらだちを感じ、高額製品を販売することで達成できる事柄に疑問を感じていた」と述べている。一方オープンソースソフトウェアでは、「技術革新が頻繁に起こり、業界の機動力もはるかに高い」と、Newtonは指摘している。
もっとも、そうした考えに反対する人々は多数存在する。まだ未成熟な製品ではあるものの、非常に重要なプロジェクトとなっているオープンソースソフトウェア「Xen」との競争に直面しているVMwareのプレジデントDiane Greeneもその1人だ。Greeneは先週受けたインタビューの中で、技術革新を競争に先立たせるという持続的な流れを確立し、製品を広く行き渡らせることができるならば、プロプライエタリソフトウェアはすぐれたビジネスになると主張した。EMCの子会社であるVMwareは、自社ソフトウェアの普及を促進するため、仮想マシンソフトウェア「VMware」の基本的なバージョンをサーバ向けおよびPC向けの2種類用意し、無料で提供している。