ジャストシステムは1月12日、法人向けのライセンス製品としてMicrosoft Office互換のオフィス統合ソフトを開発中であることを表明した。発売は今夏の予定。
新製品は、Microsoft Word文書(.doc)、Excel文書(.xls)、PowerPoint文書(.ppt)の作成と編集を前提としたもの。同社では、従来からワープロソフト「一太郎シリーズ」や表計算ソフト「三四郎」などにおいて、MS Officeとの文書互換性を高める実装を行ってきたが、現在開発中の製品は、ゼロから新たに設計を行うことで、文書、機能、ユーザーインターフェース(UI)面でのより高い互換性の確保を目指す。互換のターゲットとしては、Office 2003を想定しており、Office 2007以降のファイル形式やUIの変更に伴って想定される移行コストからバージョンアップをためらっている企業ユーザーを取り込みたい考えだ。
新規開発製品は、表計算ソフト「JUST Calc」、プレゼンテーションソフト「JUST Slide」、ワープロソフト「JUST Note」に加え、日本語ワープロソフト「一太郎Pro」、日本語入力システム「ATOK Pro for Windows」、ライセンス管理ツール「JUST AppDesk」、印刷時のインクとトナーの消費量削減ツール「JUST InkCutter」なる。統合製品としては、民間企業向けの「JUST Office」、官公庁および自治体向けに個人情報保護機能などを付加した「JUST Government」、警察機関向けの機能や素材を追加した「JUST Police」といったパッケージングが予定されている。
同社が行った調査では、企業がPCを調達する際に、1台あたりのコストに占めるオフィス統合ソフトのライセンス料の比率が徐々に高まっており、コストコンシャスにならざるを得ない経営環境において、オープンソースソフトウェアであるOpenOffice.orgなどへの移行も起こっているという。一方で、社内文書の移行やサポート体制の構築、ユーザーの教育コストといった懸念から、移行に踏み切れないケースもあるとし、「低コスト」「セキュリティやサポート」「業務に即した機能改善」「早期での検証と導入」といった条件を満たしたOffice互換ソフトを望む企業ユーザーの声があったとする。
ジャストシステム代表取締役社長である福良伴昭氏は、開発の背景として「以前から、ジャストシステムに安心して使えるOffice互換ソフトを提供してほしいという法人ユーザーの声があった。今回の製品はそれに応えるもの。より低コストで導入が可能で、導入効果が明確に表れる、価値のある製品としたい」と述べた。Windows 7の発売から1年以上が経過し、PC環境の刷新を検討している企業ユーザーに対して、機能とコスト両面での訴求を目指す。
新製品の具体的な発売日や製品構成、価格は明らかにされていないが、ライセンス料については「Microsoft Officeの半額程度」(同社)を目標に検討を進めているという。また、企業ユーザーからは特に要望が多いマクロ機能についても、互換性を持たせること前提に開発を行っているという。