これは一部の企業にとっては魅力的な選択肢だが、慎重に検討する必要がある。そうしないと将来に痛手を受ける可能性があると、アナリストグループのGartnerが指摘している。
Gartnerによると、企業はWindows Vistaへの移行開始を「大幅に遅らせており」、ほとんどの企業はVistaの導入を2008年後半、または2009年に開始する計画である。さらにはVista導入を完全に見送ってしまうことを検討している企業もある。
しかしGartnerでリサーチ担当バイスプレジデントを務めるMichael Silver氏は、Windowsの次期バージョン(開発コード名「Windows 7」)もVistaと同様に発売が遅れ、採用が困難になる可能性がある、と警鐘を鳴らしている。
「『Windows 98』『Windows 2000』『Windows XP』をスキップしようと考えた企業はしばしばISV(独立系ソフトウェアベンダー)によるサポートの問題に直面し、移行が困難になるとともに移行を急かされたり、余儀なくされたりすることがあった。Vistaをスキップしようと考えている企業も同じ危険性を経験する可能性が高い」とGartnerの調査は警告する。
例えば、MicrosoftはWindowsのビジネス版については少なくとも10年間のサポート期間を設定しており、Windows XPでは2014年までセキュリティフィックスが提供される予定である。しかし、多くのソフトウェアベンダーはWindows XPで動作する製品をそれほど長期間にわたってサポートすることはないだろうし、旧OSで動作するソフトウェアの新しいバージョンをサポートすることもないだろう。
Windows XPに関しては、ソフトウェアベンダーはおそらく2010年前半にはサポートの打ち切りを開始すると思われ、2012年までにはソフトウェアベンダーが新しいバージョンまたは新しいアプリケーションでWindows XPをサポートしないのが一般的になるだろう。
Gartnerはさらに、MicrosoftがVistaの発売から約3年以内にWindows 7をリリースすると述べていることについて、「MicrosoftがこれまでWindowsの新バージョンを発売してきた状況を振り返ってみると、その実績は決してかんばしくない」と警告している。Gartnerは具体的にWindows 2000とVistaの両OSの遅れを指している。
Windowsの次期バージョン(かなりの大型リリースになる可能性が高い)の発売が遅れた場合、Vistaをスキップしようと考えていた企業はWindows XPを搭載した大量のPCを予定よりも長く稼働させなければならなくなり、さらにベンダーのサポートが出そろう前にWindows 7を採用せざるを得なくなる可能性が高い。