10月17日付けの「日本経済新聞」3面に、電子マネーに関する記事が掲載されている。記事によれば、流通系の「nanaco」と「WAON」を合わせた累計発行枚数は2030万枚で、鉄道系の「Suica」と「PASMO」を合わせた累計発行枚数は4077万枚である。発行枚数では、鉄道系が流通系のおよそ2倍であるが、決済件数では流通系6030万件(9月)に対して、鉄道系4101万件(9月)と流通系に分がある。
記事には取り上げられていないが、流通系と鉄道系では大きな違いがある。それは、流通系が銀行を持っているのに対し、鉄道系は持っていないということだ。nanacoを発行するセブン&アイにはセブン銀行があり、WAONを発行するイオンにはイオン銀行がある。しかし、鉄道系にはない。また、非金融からの参入という点では、通信系もauが三菱東京UFJ銀行とじぶん銀行を設立して銀行業に参入している。
いずれも、生活者に近い視点からユニークな銀行サービスを提供しようという試みである。それらに共通するのは、流通系も通信系も消費者の日々の生活に密着していることだ。われわれは毎日のようにコンビニに立ち寄り、携帯電話を手放すことはない。そしてそこに金融サービスの窓口があれば便利である。
こう考えると毎日使う鉄道系に銀行がない方が不思議である。切符の自動販売機のうち一つか二つでもATMになっていたら有難い。鉄道系銀行で貯金して、それでパッケージツアーを買えば割引になったりすると良いかもしれない。何といっても、毎日通る場所に金融サービスがあれば便利この上ない。
と思っていたら、実は1年前に鉄道系銀行は設立されていたのである。その名も「電車銀行」、略して「電銀」。決済機能はないようだが貯蓄機能はある。そして、お勧めのサービスは「切符代貯金」。毎日の切符代相当を貯めて豪華旅行へ行こうというサービスだ。
でもちょっと小さいな、この銀行。
飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。
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