Microsoftはカナダ・トロントのi4iとの特許訴訟で敗訴したことを受け、「Office」スイートでのカスタムXML機能提供を停止する。
i4iは特許を侵害された損害賠償として、Microsoftに対し2億ドルの支払いを求めていた。連邦巡回控訴裁判所が米国時間12月22日に明らかにした裁定を報じるBloombergの記事によると、控訴裁はMicrosoftに対し、意図的な侵害に対する罰金4000万ドルなどを追加した2億9000万ドルをi4iに支払うよう命じているとのことだ。Microsoftは2010年1月11日までに、カスタムXMLを含むOfficeの販売を停止しなければならない。この期日は、2009年8月に当初の裁定が下された日から5カ月後となる。
これまでわたしが耳にした情報によると、Microsoftはすでに問題となっているカスタムXML機能を無効化する方法を見出しており、「Word 2007」向けに同機能を無効化するパッチを発行することでで裁判所の命令に順守できるという。「Office 2010」についても、正式版が2010年6月にリリースされるまでの間、同じ修正パッチを利用するのではないかと思う。Microsoft側は、カスタムXMLはOffice 2010のベータ版には含まれておらず、2010年1月11日以降に発売されるWord 2007と「Office 2007」から該当技術を削除するだけだと述べている。
カスタムXMLはカスタム定義スキーマ向けのサポートであり、これを利用して、ドキュメントをビジネスプロセスやビジネスデータと統合することができる、とMicrosoftは説明している。
22日の判決を受け、Microsoftに今後の計画について聞いてみた。Microsoftから回答があれば、ここで紹介したい。
アップデート:22日の敗訴について、MicrosoftのKevin Kutz氏より公式回答をもらった。
この差し止め命令は、2010年1月11日以降に米国内で販売されるMicrosoft Word 2007とMicrosoft Office 2007を対象としたものだ。1月11日より前に販売される製品は、対象外となる。
2009年8月に連邦地方裁判所が差し止め命令を下した後、われわれはこの可能性を踏まえてMicrosoft Word 2007とMicrosoft Office 2007について準備を進めており、あまり使われていない機能を2製品から削除できるようにしている。こういったことから、該当機能を削除したMicrosoft Word 2007とOffice 2007を期限までに準備できると見込んでいる。また、現在ダウンロード公開中のMicrosoft Word 2010とMicrosoft Office 2010のベータ版には該当機能は含まれていない。
差し止め命令への順守を急ぐ一方で、控訴裁判所での再審理や最高裁判所への上訴要求など、法的な選択肢も検討しているところだ。
アップデート2:読者の“Bitzie”さんが、MicrosoftはすでにカスタムXMLを無効にするパッチをリリース済みであることを教えてくれた。実際、このパッチは2009年10月にOEMに配布されていたようだ。
米国におけるOffice 2007の「補足的」リリースには、一度インストールすると「WordがDOCX、DOCM、XMLファイルに含まれるカスタムXML要素を読み込まないパッチが含まれている。これらのファイルは開くことができるが、カスタムXML要素はすべて削除される。カスタムXMLマークアップの処理機能は通常、自動化されたサーバベースのWordドキュメント処理と連動している。一般的には、ほとんどのエンドユーザーには使われていない機能だ」。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ