数週間前、Microsoftが公式に「Courier」タブレット計画を中止したことを認めた後、わたしの元に多く寄せられる質問がある--「では、J Allard氏の次のプロジェクトは?」だ。
2009年秋に情報筋から得た情報によると、Allard氏はデュアル画面タブレットのCourierを統括しているとのことだった。Courierはインキュベーション段階まで進んだが、最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏らは最終的に、同プロジェクトを停止するという判断を下した(Microsoftでは、製品になる可能性という点ではインキュベーションはリサーチよりも高い。だが、インキュベーションは商用化が約束されているわけではない)。
この1カ月、わたしはAllard氏の近況を調べようとしている。かなり信頼できる情報筋の1人は、Allard氏は休暇中であり、そのままMicrosoftに戻ることはないのではないかと言う。Allard氏の名前はまだMicrosoftの社員名簿にあるようだ。Microsoftのウェブサイト上にある略歴でAllard氏はエンターテインメント&デバイス部門、最高エクスペリエンス責任者(CXO)兼最高技術責任者(CTO)という肩書きを持つが、これも変わっていない。
うわさによると、Allard氏はCourierプロジェクト中止という判断に満足しておらず、Microsoftを辞めるというおどしをついに実行した(Allard氏はよくこの手段を使っていたのだろうか)ようだ(別の人によると、Ballmer氏とAllard氏はCourierの可能性について意見が食い違い、結局はBallmer氏がAllard氏を追い出したという)。
Microsoftにコメントを求めたところ、以下のような返事だった:「『うわさや憶測』に関してはコメントしない」(わたしはAllard氏が休暇中なのかについて追加情報を求めたのだが、Microsoftは「これ以上言うことはない」とのことだった)。
だが米国時間5月18日、Microsoftのウェブサイトで、Allard氏ではないある人物の略歴が変更された。これまでゲーム・Xbox製品グループ担当コーポレートバイスプレジデントとして紹介されていたTodd Holmdahl氏の肩書きが、インタラクティブエンターテインメント事業部インキュベーション担当コーポレートバイスプレジデントに変更されたのだ。以下がHolmdahl氏の新しい職務に関する説明だ。
Holmdahlはインタラクティブエンターテインメント事業部のインキュベーションチーム責任者として最新技術、最新のコンシューマーエクスペリエンス、最新のビジネスモデルの開拓を統括する。社内および社外のパートナー企業と協力して、将来のインタラクティブエンターテインメントシナリオに関する計画、スコープ、プロトタイプを進める。
Holmdahl氏の新しい履歴によると同氏は、「Xboxブランドを創始した1人」であり、「現在開発が進んでいる『Project Natal』チームの主要なリクルーターでもある」という。
Holmdahl氏の肩書き変更は、6月前半に開催される「E3」でMicrosoftがProject Natalを披露する前に準備を進めているだけと見ることもできる。だが、Holmdahl氏をAllard氏の代役としてポジショニングしようとする狙いもあるのではないか?
数人の知り合いに、MicrosoftがAllard氏の後継となるようなエンターテインメント&デバイスでクリエイティブの取り組みを率いる人物を探しているのか聞いてみたが、知っている人はいないようだった。ある内部者はAllard氏の現在の状況や計画を直接知らないと述べた後で、以下のような情報をくれた。
Allard氏はXboxの鍵を握る人物で、Courierのように組織として立ち上げてイノベーションを推進してきた。型にはまらない考え方を積極的に取り入れ、本社キャンパス外で最高機密に取り組んできた。機能だけではなく、デザインの重要性を理解しているという点で、(AppleのCEO、Steve)Jobs氏に少し似た存在だった。こういった事情から、もしAllard氏がMicrosoftを離れることになれば、重要なデザイン唱道者とイノベーターをMicrosoftは失うことになる。
Allard氏は「Zune」以来新しいローンチに姿を見せていない(とわたしは記憶する)し、インタビューにも応じておらず、注目から外れている。Allard氏の名前が最後に出てきたのは、Allard氏がオレゴン州ポートランドベースのアウトドア関連のThe Clymbの取締役に参加したという4月14日付けのニュースだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ