SQLをより賢く使うための12のヒント

文:Susan Harkins  翻訳校正:石橋啓一郎

2009-06-30 08:00

 あなたのユーザーはSQLについてまったく知らないかも知れないが、その価値についてはしっている可能性が高い。SQLはあらゆる場所で使われており、学ぶのも簡単で、SQLを使ったソリューションは実装も簡単だ。SQLをあまり使わないにしろ、よく使うにしろ、SQLを賢く使えば、エラーを避け、性能を向上させることができる。

 多くのSQLは各ベンダー独自の仕様を持っている。以下で紹介するヒントはJetとTransact-SQLで使えるものだが、ほとんどのSQL製品はこれに似ている。

1: AccessのSQLウィンドウでJet SQLを利用する

 Accessユーザーは、クエリを作成するたびにSQLステートメントを作成している。ただ、彼らがそれを知らないだけだ。彼らが使っているクエリデザインウィンドウは、実際にはSQLを視覚的に表現したものだ。ほとんどのユーザーは、自分が必要とする適切なSQLステートメントを作ることはできないため、視覚的なインターフェースは助けになるが、これはあなたも便利に使えるものだ。もし頭の中だけでエラーのないSQLコードを作ることができないのであれば、このSQLウィンドウに助けてもらうといいだろう。

  • クエリデザインウィンドウを使ってクエリを作成し、そのSQLウィンドウのコードを、VBAモジュールのコード内にコピーする。
  • もしそのコードのクエリが、VBAの無意味なエラーメッセージを返すようであれば、そのSQLステートメントをSQLウィンドウにコピーして実行してみるとよい。Accessは通常、エラーに関してVBAよりもましな情報を返してくれる。

 モジュールの中のSQLステートメントを、そのままSQLウィンドウにコピーしてはいけない場合もある。ステートメントに連結演算子や変数が含まれている場合、定義ステートメントの直後にDebug.Printステートメントを追加しておくとよい。そして、ステートメントのデバッグが必要な場合は、評価後のステートメントをイミディエイトウィンドウからコピーする。たとえば、次のコード中のステートメントには変数と連結演算子が含まれているため、そのままではSQLウィンドウで実行することはできない。

"SELECT * FROM " & tbl & " ORDER BY " & fld

 しかし、このステートメントの後にDebug.Printステートメントを付けておけば、イミディエイトウィンドウから、次のような評価後の結果をコピーすることができる。

SELECT * FROM Employees ORDER BY HireDate

2: SQLの予約語

 SQLにはキーワードなどのいくつかの予約語がある。カラム、テーブル、変数、あらゆるオブジェクトの名前には、これらの単語は使えない。SQLエンジンが予想していないコンテクストでこれらのキーワードが使われると、SQLエンジンは混乱しエラーになる -- あるいはもっとひどい場合には、正しくない結果が出る。

3: ALL、DISTINCT、DISTINCTROWの違い

 SQLのSELECTステートメントは、ALL、DISTINCT、DISTINCTROWという3つの述語をサポートしている。デフォルトはALLで、指定された条件を満たすすべてのレコードを返す。DISTINCTは、返してくるカラムに含まれる値を1つだけに制限する。たとえば、次のステートメントを実行すると、LastNameの値1つにつき、1つのレコードしか返されない。

SELECT DISTINCT LastName

 言い方を変えれば、もしJohn SmithとMary Smithにそれぞれ1つのレコードが存在する場合、上記のステートメントはSmithという名字(LastName)に関してどちらか1つのレコードしか返さない。ただし、DISTINCTは直後に指定されたカラムだけでなく、それ以降に指定されたすべてのカラムに対して適用される。つまり、次のステートメントを使った場合、John SmithとMary Smithのどちらについても1つのレコードを返す。これは、その2つのカラムを組み合わせれば、同じレコードは生成されないためだ。

SELECT DISTINCT LastName, FirstName

 SELECT句で1つ以上のカラムが指定されている場合、返されたレコードの選択されたカラムの値の組み合わせは一意となる。

 DISTINCTには、ユーザーが知っておくべき、いくつかの予想しにくい特徴がある。

  • DISTINCTをアスタリスクと一緒に使ってはならない。カラムは名前で指定する必要がある。
  • これは当然のことだが、DISTINCTを使ったクエリの結果は更新することができない。

 DISTINCTがカラムに対して使われるのに対し、DISTINCTROWはレコードに対して使われる。(Transact-SQLではDISTINCTROWはサポートされていない)。この述語には、以下に挙げるようないくつかの独自の制約があり、これがトラブルシュートが困難なエラーの原因になる場合もある。

  • クエリにテーブルが1つしかない場合、エンジンはDISTINCTROWを無視する。
  • 使用するすべてのテーブルのすべてのカラムが指定された場合、エンジンはDISTINCTROWを無視する。

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