AppleのiPadについては、すでに多くのレビューが出回っている。わたしはその多くをあまり気にしていない。なぜなら、iPadを長期間使っているレビュワーは1人もおらず、まだ蜜月期間にあって、彼らの意見や結論の多くは疑問の余地のあるものだからだ。私はしばらくの間iPadを使い、目新しさがなくなったときに見えてくるものを知りたいと思っている。
その時点で、私は(いつもの通り)ビジネスとITの観点から完全版の製品レビューを書くつもりだ。しかし、それよりも前に何かしらの情報を知りたい人もいることは分かっている。そこで、私の最初の印象をいくらか紹介したい。
この記事では、企業やIT部門がiPadに注目すべき理由と、現時点では実業界がiPadを敬遠した方がいい理由の両方を挙げてみることにする。
iPadに注目すべき理由
1.恐ろしく長いバッテリー寿命
(知っている人もいるかも知れないが)私はネットブックを大変気に入っており、ネットブックの最大の魅力の1つがバッテリー寿命だ。一部のネットブックメーカーは、自社のシステムが最大10時間ものバッテリー寿命を持っていると宣伝している。ほとんどの場合、実際の数字は7時間から8時間というところだが、それでも米国内の長めのフライトや、国際フライトでは大きな違いをもたらしてくれる。
しかし、iPadはそれ以上だ。AppleはiPadのバッテリー寿命を10時間としている。ところが、Wall Street JournalのWalt Mossberg氏は、iPadを酷使した状態で、11時間28分のバッテリー寿命が得られたと報告している。私が最初に使ったときにも、同様の経験をした。iPadが私に届いたのは土曜日の午後12時30分で、その日はずっとこのデバイスを使っていたのだが、バッテリーが70%を切ることはなかった。
2.iPadはブリーフケース+ホワイトボード+ダッシュボード
iPadのデモやCMの多くは、ゲームや動画の視聴を前面に押し出しているが、このデバイスがビジネスユーザー向きではないなどと考えるべきではない。ただし、私はワープロや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトのことを言っているのではない。iPadでそれらを使う人がいるかは疑わしい。
しかし、iPadがあれば新聞や雑誌の山を持ち運ばなくてもよくなり、報告書やその他の分厚い文書をブリーフケースに詰め込むのも避けることができる。USA TodayやNew York Timesを読めることや、インターネットが使えること以外に、とりわけ重要なのがiPadがビジネス書を読むための優れたデバイスだということだ。サードパーティアプリケーションを使えば、iPadはPDFファイルやDOCファイルなどの長いビジネス文書を読むことにも便利に使える。
ビジネスマンなら、アイデアを仮想ホワイトボードに書き出し、その画像を保存し、仲間に電子メールで送ることのできるIdeateのようなアプリケーションも便利に思うはずだ。
iPadの素晴らしい液晶スクリーンを活用するもう1つの方法は、これをビジネス指標を一覧するためのダッシュボードとして使うというものだ。近いうちに、特定のデータを表示するためのアプリケーションが数多く出てくると思われるが、今でも(サードパーティのアプリケーションを使えば)Microsoft Excelファイルを開くことができるし、Google AnalyticsをSafariで開くなどすることで、ウェブベースのデータを引き出すこともできる。
3.あこがれのスタートレック
正直になろう。iPadは現時点では初期導入者向けのデバイスであり、しかもまだかなり早い段階のものだ。3世代目のiPadは、おそらくもっと便利で機能的なものになっているだろう。とはいえ、今iPadを使うことは、未来の技術に触れたような気分にさせてくれる。実に未来的だ。
iPadは、U.S.S.エンタープライズのピカード艦長になったような気にさせてくれる。実際、スタートレックのPADDをエミュレートするiPad用アプリも存在するという。
ビジネスリーダーであれば、iPadを使うことがコンピューティングの進化における次のステージに進む助けになるかもしれない。重要なデータの整理と活用がうまくできるようになることで、競争にも有利になる可能性がある。