Gartner ITExpoでセキュリティアナリストのAndrew Walls氏にインタビューを行い、Web 2.0がアプリケーションのセキュリティに与える影響について聞いた。
Walls氏は、従来のデスクトップのセキュリティ対策がWeb 2.0の世界ではどのように不十分なのかについて説明し、開発者が自分の書いたコードのセキュリティについてより個人的な責任を負わなくてはならないと話した。
――インターネット上のアプリケーションにとって最大の脅威を挙げるとすれば何ですか。
人間です。これは少し単純すぎ、冗談のようにも聞こえることは分かっていますが、結局のところは常に人間のアプリケーションの使い方、データの使い方の問題に至ります。すべての人が正直で、信頼に足り、本物であれば、セキュリティの問題は起きません。しかしセキュリティビジネスの世界では、誰もが嘘をつこうとしており、不正直で、金を巻き上げようとしているという現実的な仮定を置き、アプリケーションをできる限り安全なものにしようとしています。
Web 2.0の世界で、マッシュアップやウェブ上のアプリケーションについてわれわれが扱っている問題の多くは、実際にはセキュリティとアプリケーション開発の場面で昔からある問題です。入力データは検証する必要があります。例えばウェブページのフォームのフィールドに入力される情報が有効なデータであり、システムに入力したいと思っている情報であることを確認しなくてはなりません。そしてもちろん、そのシステムから出力されるデータが、出したいものであるということもです。
この基本的なルールを無視するシステムは、リスクを抱えています。2カ月ほど前、(オーストラリアの)首相のウェブサイトがハックされて大騒ぎになったのを覚えていますか。あれは標準的なフォームからデータを入力させる際、入力を検証していないことが原因の、古典的なJavaScript攻撃でした。これはよくある形の攻撃の1つですが、こういうことがまだ存在するということ自体が問題なのです。開発者の世界は、すべての入力と出力を検証し、またシステム上でやりとりされるすべてのデータにはっきりした境界線を設けるということを十分やってきていません。
基本的に、これらの問題は人間が原因で起こります。システムは人間に言われたことを何でもやりますが、攻撃をするのも、そこにあるものの制御をハックするのも人間なのです。最大の問題は常に人間自身にあります。
――この問題は、企業にはきちんと理解されているのですか。
企業という言葉が何を意味するかによります。今はITExpoに出席していますが、このフロアにいる企業はすべて非常によく理解しています。しかしもちろんこれらの企業はITを専門にしており、彼らはセキュリティについて常に扱っています。一方で銀行や自動車メーカーの場合、それらの組織の企業リーダーと話しても、彼らは私が話したデータの検証のことのような細かいことについては理解していません。理解しているべきでもありません。彼らが理解すべきなのは、セキュリティの問題を処置せず、管理しないままにしておくと、彼らの企業にどのような影響があるかということです。彼らはセキュリティ管理者やプロフェッショナルを雇い、彼らの代わりに面倒を見させるでしょう。
セキュリティ管理者は、それらの技術上およびセキュリティ上のリスクを、ビジネスの言葉やビジネスリスクに翻訳できなくてはなりません。そうすれば、企業リーダーは彼らの企業に関して情報に基づいて判断することができます。彼らは特定の問題については知る必要はありません。それはセキュリティ管理者の仕事です。企業リーダーは最適な判断ができるよう、情報を知らされ、本当のデータを持っていなくてはなりません。
――デスクトップアプリケーションに対して取られていたアプローチは、どの程度ウェブでも利用できるのですか。
これら2つはうまく対応しません。まずデスクトップのセキュリティはうまく行っておらず、今でも多くの変更が行われており、われわれがデータ漏えい対策と呼ぶ、完全に新しい種類の製品が出始めています。これは、USBメモリへのデータ移動やCDへのコピーなどを対象にしています。これはID管理や、人間に強い認証トークンを持たせるいったことを超えた問題を扱っており、データがどのようにシステムを移動し、その情報をどう正しく管理するかということを対象にしています。
もしクレジットカード情報がネットワークや誰かのラップトップやUSBメモリ経由で自分のシステムの外に出るのを止めたいと思えば、クレジットカード番号がどのような形をしているかを知っており、それが間違った場所に移動されようとしているのを発見した場合どう処理したらいいかを知っているソフトウェアを持たなくてはなりません。これは、現在人気のあるほとんどのデスクトップセキュリティ環境の仕事を超えています。このため、これらの新しい製品が生まれようとしているのです。デスクトップはわれわれがそうあって欲しいと考えるほどは安全ではなく、今でもデスクトップとラップトップ側には大きな改善の余地があります。
さらに、Web 2.0環境のような、新しいアプリケーション環境があります。WestpacのDavid Backley氏の素晴らしい発表では、Westpac内でFacebook型のソーシャルネットワーキング環境を使ってどのように協調活動やチームワークを促進しているかについて示されており、Second Lifeのような仮想世界も同様のものとして見られています。この種の大規模な分散ネットワーク環境に依存する新しいアプリケーションは、あらゆる種類の新しいセキュリティリスクを持ち込みます。
このセキュリティリスクは、そのアプリケーションの種類――それが仮想世界、ソーシャルネットワーク、ブログなど何であろうと――を分解して、それを構成するコンポーネントを見れば、他のアプリケーションと違いはないというのが私の主張です。それらのアプリケーションはAJAXや新しい形のHTMLなど、少し新しい言語を使っているかも知れませんが、それらもやはり言語であり、同じ問題を抱えています。これは検証と、コードが変更されていないことを確実にすることであり、同じ基本的なことです。
Web 2.0の新しい環境で、われわれがみな取り組んでいる問題は、それらのコンポーネントがそれだけでは存在できないということです。Web 2.0アプリケーションは多くの場合、1つの形に収まったワープロのソフトを手に入れるというようなものではなく、何十もの個別のコンポーネントから作られています。これらのコンポーネントは異なる企業のものであるかもしれず、内部で開発された自前のものかも知れません。ネットワークのセキュリティを確保するためには、それらすべてのコンポーネントのセキュリティを確保する必要があります。
「セキュリティ」 の新着情報
-
日本IBM、ICカードや生体認証デバイスに対応したアクセス管理製品の新バージョン
日本IBMは、アクセス管理ソフトウェアの最新版である「IBM Tivoli Access Manager for Enterprise Single Sign-On V8.1」を発... - IE 7のゼロデイ脆弱性に攻撃コードが公開される
- Operaにセキュリティパッチ--「極めて重大」な脆弱性を修正
- 「iPhone」と「iPod touch」を狙う危険なワームが出現
- マイクロソフト、「IE」のCSS処理に関する脆弱性を調査中と発表
- セキュリティ 一覧へ »
「インタビュー」 のバックナンバー
-
EMC幹部、自社システムのクラウド化に向けた戦略と課題を語る
EMCのビジネスCIOを務めるMichael Montoya氏が、同社システムのクラウド化に向けて進めている戦略と、クラウド環境を構築する製品群、そしてクラウド実現のための課題を語った。 -
Google Mapsで紛失パソコンを表示、国境越えて回収--Absoluteの新サービス
-
Linux躍進の背景にある3つのトレンド--Linux Foundation幹部が語る
-
環境や社会的責任への配慮は企業価値を高める--SAPのサステナビリティ戦略
-
景気低迷の今だからこそムダのないIT環境の実現が不可欠:CA
- インタビュー 一覧へ »
-
日本モバイルインターネット端末市場分析 〜2008〜2012年のMID及びスマートフォン...
- POSデータを活用し、売上アップを導く「分析力」とは?
- BIベンダーの選び方 −BIベンダー選定のための評価フレームワーク
- 【導入事例集】多業種から評価されているWeb会議システム、24社の導入事例をご紹介
- CRMの限界を超える!「顧客経験価値マネジメント」実現の5段階
- 企業コスト削減の傾向と対策 〜最新アプローチのトレンド〜
- 【日産自動車:BI導入事例】連結対象の36社からの情報を元に車種別損益管理を実現
- ストレージ問題の課題に対する解決方法
- iPhoneをビジネスで活用する時代へ〜ビジネス&モバイルのミライ〜
- 中堅企業におけるテクノロジーと成長
企画特集
-
高まるiSCSIストレージへの注目度
ストレージシステムの4つの課題とiSCSI導入のメリット -
【最終警告】パンデミック対策特集
サービス品質を保証するためのリスクマネジメントとは -
マネジメントの「コラム」と「コネタ」
今日のキーパーソンは誰? -
100万円で実現!中小企業の情報漏えい対策
中小企業の課題!?セキュリティ管理者不在でも大丈夫 -
大丈夫?あなたの会社のセキュリティ対策
中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティを考える -
電力に"ふた"をする独自の省エネ機能とは!?
動的に電力割り当ても可能なHPの最新鋭ブレードに迫る -
―エン・ジャパン厳選求人☆毎週更新―
ハンゲームの社長が語る・人材とサービスの在り方 -
グリー、3人のエンジニアが語る仕事への想い
連載第2話、元SIerに聞くリニューアルと開発の舞台裏 -
企業ITシステムの企画、構築、運用のイロハ
戦略的なITシステムのために、今考えるべきポイント -
容量制限によるメール消去は一切無し!
全てを保存するメールセキュリティSaaSが登場 -
J-SOX法制定により内部統制の整備が急務に
重要性高まるActive Directoryの課題と対処法を公開中 -
急増するオンライン犯罪への解決策!
オンラインサービス保護ソリューション
-
15. プラグマフリー構文
この4分間のビデオは、プラグマ構文を知らなくてもOpenMPディレクティブ... -
16. 並列性の用語定義
この6分間のビデオでは、このシリーズのビデオを通じて使用される用語を...
新着企業動向
-
kotobank、収録する辞書情報の一部提供を開始 第一弾 「@nifty辞書」に39辞書・37万語の情...
ECナビ -
ポイントは、『シンプル&セキュア』、限れたリソースで効果的にセキュリティを高める方法
ミラポイントジャパン -
「知って楽しむオトナのたしなみ」出張アテンダント編を公開しました!読者プレゼント企画も...
日立システムアンドサービス -
メールセキュリティSaaS『Mail Luck!セキュアタイプゲートウェイ』
NTTPCコミュニケーションズ(ネットワーク事業部) - 企業動向一覧へ»
