2010年も数々のITベンダーが買収されていった。2009年にOracleが発表したSun Microsystemsの買収に匹敵するほどの衝撃的買収はなかったかもしれないが、今年も買収話が尽きない1年だった。今回は、ストレージ関連企業の買収に焦点を当て、この1年を振り返ってみたい。
3PARを巡る激しい戦い
2010年に最も注目された買収劇のひとつを挙げるとすれば、8月から9月に渡ってDellとHewlett-Packard(HP)が争ったストレージ企業3PARの買収だろう。
この買収は、当初Dellが3PARの発行済み株式を1株18ドルの現金で買い取るという条件で、両社の取締役会にて承認されていた。この発表があったのは8月16日のことだが、1週間後の8月23日、突如HPがDellの買収額を上回る1株24ドルという条件を3PARに提示したのだ。
これを受け、3PARはDellに対し、26日までにより良い条件を提示するよう通知した。Dellはこの提案に応じ、26日に1株24.30ドルという金額を提示するが、その数時間後HPは提示額を27ドルに引き上げた。
Dellも黙ってはいない。27日午前には、HPの提示額と同額となる1株27ドルという金額を再び3PARに提示する。しかし今度はその数時間後、HPはその提示額を30ドルに引き上げた。その後Dellは再び提示額を1株32ドルとしたが、さらにHPは3PARに対し1株33ドルという金額を提示した。
こうして約半月に渡って激しい争奪戦が繰り広げられた3PARの買収は、Dellが米国時間9月2日に3PARの買収を断念するとの声明を発表し、幕を下ろした。
この買収劇で、デジャブのような感覚に陥った人もいたのではないだろうか。約1年前にも同じくストレージ企業のData Domainを巡る同様の動きがあったのだ。
この時は、2009年5月から7月にかけて、NetAppとEMCが買収提示額の引き上げ合戦を繰り広げた。最初にData Domainの買収に名乗りを上げたのはNetAppだったが、最終的にEMCがNetAppを上回る買収金額を提示、Data DomainはEMCに買収される形で落ち着いた。