OSSデータベース導入の留意点
他DBからOSSデータベースへと移行する場合、定義やデータの移行はツールを利用することで比較的低コストで移行できます。しかし、ストアドプロシーシャやトリガーなどはDBMSごとに言語の違いがあるため手作業の介在が必要となり、結果として規模に応じた移行コストが高くなることを留意する必要があります。また、MySQLに関してはV5.0より前のバージョンでストアドプロシーシャ/トリガー/ビューをサポートしていないため、移行の際はAPでの対処やDBの定義変更も必要です。
運用管理の面については、運用管理や障害の監視に関する管理ツールが確立されていないため、スクリプトの作成や利用者による監視が必要です。具体例を挙げると、ディスク領域ではOSなどの機能を利用して物理的な空き容量を監視します。ログ管理では、領域を使い切らないようにログのローテーション設定とログサイズを確認し、起動失敗のようなログにのみ出力されるエラーやワーニングなどの情報を監視します。セキュリティに関しては、監査(Audit Log)機能がなくDBへのアクセスや更新を記録できないため、APやトリガーなどの作りこみでログに情報を出力する、といった具合です。
導入からデータ連携まで幅広くサポート
OSSデータベースへの運用管理は前述のような対策が有効ですが、これらを実際に行うには多くの手間が必要です。そこでNECではDBの運用性を向上するため、MySQLとPostgreSQLの運用監視ツールおよび、PostgreSQLのDBメンテナンスツールを開発、2006年10月に出荷を予定しています。
運用監視ツールは、状態/構成/ストレージ/セキュリティ/ログ/パフォーマンスなどを監視することができます。さらに、アラート画面表示/SMTPメール送信/SNMPトラップ送信が可能な障害通知、監視項目に対応した運用ナレッジの参照や編集、収集したデータの蓄積や参照に加えてレポートやスナップショットデータの作成が行える蓄積・参照、といった機能も搭載しています。
DBメンテナンスツールは、PostgreSQLにおけるデータのセーブ/ロードを迅速に行う高速ローダに加え、DBが正しい状態かを診断して障害時の原因切り分け時間を短縮できるDB診断機能、障害時に可能な限りデータを救うDB修復機能が用意されています。
サポートサービスも充実しており、PostgreSQLの事前検証からサーバ導入までは、フェーズごとに各種サービスが用意されたOSSミドルウェア構築サービスを提供。システム導入後は保守サポートによる運用支援が利用可能です。MySQLに関しては、MySQL社のプラチナ・パートナーであるNECシステムテクノロジーが導入から運用まで多彩なサービスを提供します。
さらに、情報系DBで基幹システムのデータを活用するといった場合には、異種DB間のデータ連携を可能にする「DataCoordinator」が最適です。システム導入・構築が低コストかつ短期間で行えるほか、運用管理ツールの導入による運用コストの低減、主要なDBMSを網羅した多彩な連携バリエーションなどを実現しています。
このように、NECでは多彩なツールやサポートサービスを提供することで、OSSデータベースの構築・運用を支援しています。