世界のOSSデータベース市場に台頭するMySQL
現在のデータベース市場シェアは、OSSデータベースの利用率が大幅に拡大しています。ワールドワイドでは「Microsoft SQL Server」に次いで「MySQL」が15.8%と第2位、日本においては「PostgreSQL」が市場の多くを占めている状況です。このような背景から、NECではMySQLとPostgreSQLの双方をサポートしています。

NEC
第一コンピュータソフトウェア事業部
エキスパート
西條 賢氏
MySQLが世界で最も利用されている理由の一つとして、GPL(General Public License)と商用ライセンスのデュアルライセンス方式を採用している点が挙げられます。これは、GPLの範囲であれば無償で利用でき、ソフトウェアに組み込んで販売するといった場合には有償の商用ライセンスが適用できるというものです。つまり、使う側の用途に応じたライセンスが選択可能なため、幅広い分野での需要が生まれるわけです。
また、アーキテクチャに関しては、業務用途に合わせてストレージエンジンを選択できたり、検索結果をキャッシュに保存して高速処理を図るクエリキャッシュも特徴といえます。
MySQLの開発はMySQL社によって継続的に行われており、今後の大幅な機能強化が期待されます。2006年にリリースされるV5.1では、大規模DBに必要となるパーティション、ディスク領域でのクラスタリング、行レベルレプリケーションなど、商用DB並みの機能が盛り込まれる予定です。
日本においては2005年4月に「日本MySQLパートナー会(JMPA)」が発足し、MySQLの更なる普及を目指しています。V4.1までマニュアルの日本語化が完了し、現在は最新版であるV5.0の日本語化が進行しているほか、日本語の一般書籍が増加するなど、技術情報の入手も容易になっています。
日本国内に広く普及するPostgreSQL
日本で最も普及しているオープンソースDBMS(DataBase Management System)といえば、コミュニティ主体で開発が行われているPostgreSQLです。PostgreSQLの著作権者はコミュニティであり、企業による動作保障はありません。ただし、PostgreSQLが採用しているBSD(Berkeley Software Distribution)ライセンスに従い、複数の企業がPostgreSQLを改造、強化し、独自のRDBMSとして製品とサポートが提供されています。早くから日本語に対応しているほか、1995年より有志による普及活動を開始し、1999年に任意団体「日本ポストグレスユーザー会」が、2006年に特定非営利活動法人「日本PostgreSQLユーザ会」が設立されております。現在では新バージョンのリリースとほぼ同時にユーザ会から対応するドキュメントの日本語版がリリースされています。
PostgreSQLの特徴として、更新や削除時に以前のデータを残しておき、新しいデータを末尾へ追記する追記型アーキテクチャ、トランザクションIDによってレコードのバージョンを管理するMVCC(Multi Version Concurrency Control:多版型同時実行制御)などが挙げられます。追記型アーキテクチャではレコードが増加するため、VACUUMによって不要領域を再利用可能な状態にする必要がありますが、ロックをかけずに削除レコードの領域を再利用可能にする「コンカレントVACUUM」、削除レコードを再利用可能にすると共にファイルの縮小を行う「FULL VACUUM」の2種類を運用に応じて使い分けられるようになっています。また、PostgreSQL8.1以降はDBMSが定期的にVACUUMを実行するAUTOVACUUM機能がDBサーバに組み込まれ、ユーザがVACUUMを意識的に運用する必要性は少なくなっています。