話は1999年にまで遡る。筆者はその頃、Salesforce.comのユーザーとして、業務プロセスを自動化するアプリケーションを使用していたのだが、その出来はかなり悪く、適切に行えることの方が少ないのではないかと思えるほどだった--例えば、.CSVファイルをエクスポートしようとすると.XLSファイルがエクスポートされてしまったり、その逆のことが起こったりしていた。そんな時、同社のMarc Benioff氏の「われわれは、エンタープライズアプリケーションプロバイダーのリーダー的存在になる」という発言(あるいはそういった主旨の発言)を読み、筆者は思わず批判の声を上げた--その当時、Benioff氏の発言はとんでもないものに思えたのだ。
Salesforce.comに対する筆者の批判は、Salesnetのサイトに掲載されたことで、Benioff氏の知るところとなった。そして同氏は、次のような文面の電子メールを筆者に送ってきた。
「私は懐疑論者を説得するのが大好きです。あなたを説得できるか、挑戦してみてもよいでしょうか?」
これに対する筆者の答えは次のようなものだった。
「ベストを尽くしてみてほしい」
Benioff氏の名誉のために書いておくと、同氏はこの言葉通りにベストを尽くした。そのやり取りの中には、逸話として語れるようなちょっとした勘違いもいくつかあったものの、最終的にBenioff氏は筆者を納得させるに至った。
このため筆者は、Salesforce.comがUnit4 Agressoとともに「FinancialForce.com」というジョイントベンチャーを設立し(少数株主として出資も行っている)、協業していくという先日の発表を耳にした際、興味をそそられるとともに、Benioff氏が10年前に行った上記の発言を思い出し、少し皮肉なことだが面白いと感じたのだった。
FinancialForce.comとは、クラウドによる財務/会計市場というものに参入するためのSalesforce.comとUnit4 Agressoの共同戦線であると言えるだろう。FinancialForceという製品は、元々CODA 2goという名称であったものを再ブランド化したものであり、既にForce.comプラットフォームに組み込まれているため、技術的に大きな進展があったというわけではない。筆者は会計ソフトウェアとその市場について最低限の基本的な知識を有しており、その知識に基づいて考えると(とは言うものの、筆者はこの件に関しては自らの見解よりも、Dennis Howlett氏による9月30日付けの素晴らしい記事の見解の方に信頼を置いている)、今回の動きはSalesforce.comとUnit4 Aggressoの双方にとって利点があると言える。Salesforce.comにとっては、Force.comプラットフォーム上で稼働する高機能の財務パッケージが手に入るということになる--つまり、こういったものを自らで新規開発する必要がなくなるということだ。その一方、CODA 2goの開発元の観点から見ると、同社は市場に斬り込んでいくための強力な武器を手に入れたということになる。このことは、最高経営責任者(CEO)のJeremy Roche氏がSalesforce.comとは「切り離したまったく新しいブランド戦略」(こんなに似た名前なのにどのような戦略が可能だというのだろうか?)についてどのようなコメントを述べようとも否定できないだろう(この件については、DestinationCRM.comのJessica Tsai氏によるこのジョイントベンチャーについての素晴らしい記事を参照されたい)。
このクラウド(雲)によって提供されるものが単なるベイパーウェア(水蒸気)であると考えている方々のために、以下にFinancialForce.comのホームページを掲載しておく。
FinancialForce.comのホームページ
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