松岡功の「今週の明言」

今週の明言--オラクルが語るビッグデータ活用の意味

松岡功

2012-09-28 15:01

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今週は、日本オラクルの三澤智光 専務執行役員と、日本HPの新造宗三郎 統括本部長の発言を紹介する。

 「日本ではソーシャルメディアの分析をビッグデータ活用ととらえる風潮があるが、それは間違いだ」
(日本オラクル 三澤智光 専務執行役員)

日本オラクルの三澤智光 専務執行役員
日本オラクルの三澤智光 専務執行役員

 日本オラクルが9月11日、ビッグデータ解析の新製品「Oracle Endeca Information Discovery」(以下、Endeca)の提供を国内で開始すると発表した。製品事業を統括する三澤氏の発言は、その発表会見で、国内でビッグデータ活用に関して「誤った解釈」が見受けられることを指摘したものである。

 Endecaは、データウェアハウスやWebログなどの構造化データと、ソーシャルメディアなどの非構造化データを組み合わせて包括的に検索・分析できるソフトウェアである。オラクルの分析専用システム「Oracle Exalytics」上での動作が保証されているため、超高速処理も可能だという。

 そもそもEndecaは、オラクルが2012年2月に経営統合した企業の製品である。買収前から非構造化データの分析技術に優れており、600社以上の顧客を抱えていたという。オラクルは、従来から構造化データの分析ツールなどは取りそろえてきたが、今回Endecaを統合したことで非構造化データの分析も容易になり、構造化と非構造化を組み合わせたデータ分析を行えるようにした形だ。

 Endecaの詳しい内容については、すでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、冒頭の発言にまつわる三澤氏の見解を紹介しておこう。

 「企業がビジネスを展開していく上では、ヒト、モノ、カネに関するデータを正確に把握して活用する必要があるが、そのためには構造化データと非構造化データをどうマッシュアップさせていくかが非常に重要なポイントになる」

 こう語る三澤氏は、さらに非構造化データについて次のように付け加えた。

 「非構造化データというと、ソーシャルメディアのような外部にあるデータが注目されがちだが、例えばコールセンターに寄せられた消費者からの音声データや、Webを通じて寄せられたデキストや画像などのデータも非構造化データだ。ソーシャルメディアなども含めて、こうしたさまざまな非構造化データを分析することで、新たなビジネスチャンスをつかめる可能性が一層広がるだろう」

 そして同氏は「日本で非構造化データが本格的に活用されるのはまさにこれから。それに加えて企業としては構造化データを組み合わせた分析結果をどう生かすかが、競争力で優位に立つ決め手になる」と強調した。

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