ネットワークケーブルの敷設を正しく行わないと、ネットワークのパフォーマンスを低下させたり、メンテナンスを難しくしたり、コストの増大を招く可能性がある。本記事では、そういった落とし穴について解説する。
ネットワークケーブルを敷設する際には細心の注意が必要となる。適切な知識を有しておらず、正式な訓練も受けていない担当者が自らの責任でケーブルを敷設していた時代もあった。つまり、電話工事や電気工事を受け持つ技術者が、仕事でケーブルを扱っているというだけの理由で割り当てられていたこともあったわけだ。しかし、電話線であれば激しい雑音が乗っても、たいていの場合は大丈夫だが、ネットワークケーブルではそういうわけにはいかない。なお、本記事ではファイバーケーブルについてではなく、ツイストペアケーブルについて述べている。以下は、ネットワークケーブルの敷設時に避けるべき10の落とし穴である。
#1:将来のことを考えない
既に1Gbpsのネットワークがほぼ標準になっているとは言うものの、おそらくあなたの会社のPCは、未だに100Mbpsのネットワークに接続されているはずだ。しかし既存のネットワークがあるとはいえ、新社屋への移転を行う場合など、新たにケーブルを敷設する必要性に迫られることもまだまだあるだろう。こういった場合、時代遅れのケーブル技術を用いて作業するのだろうか、それとも現時点でのニーズだけでなく向こう数年間のニーズをも見越したうえで、新たなケーブル技術を用いて作業するのだろうか?このようなプロジェクトにおいて、最もコストが掛かるのは作業の人件費であるということを忘れてはならない。最高級のケーブルを使ってもコストはさほど高くならないため、敷設計画時には十分に性能の高いケーブルを検討するようにしてほしい。とは言うもののおそらく、最高級のケーブルを使用することにはならないだろう。詰まるところ、たいていの組織では当分の間、PCに10Gbpsもの速度が必要となることはないためだ--しかし、コストの安さに惑わされないようにはしてほしい。
#2:電話回線とデータ回線で異なったケーブルを使用する
かつて、ツイストペアケーブルは高価だったため、電話回線とデータ回線は異なったタイプのケーブルを用いることが一般的であった。電話回線は品質に対する要求が厳しくないうえ、ケーブルには2本の銅線が必要となるだけであるため、電話回線には安価なケーブルを用い、浮いたコストをデータ回線のケーブルに回していたのである。
ちゃんとした敷設作業は、未だにコストがかかるものの、そのコストの大半は人件費となるのが一般的である。ケーブル自体のコストはさほど大きな比重を占めないというわけだ。さらに、VoIPといったサービスの台頭と共に、さまざまな場所において音声回線からデータ回線へとニーズが移ってきているため、データ回線用のケーブルが新たに必要となってきている。とはいうものの、新たなケーブルをどうしても敷設したくないというのであれば、適切なVoIP機器を使い、その機器に組み込まれているイーサネットスイッチを用いることで既存のデータ回線を流用し、コスト削減を行うこともできる。
ここでのポイント:電話回線には旧式のカテゴリ3ケーブルを使える、あるいは使うべきだと安易に考えてはいけない。電話回線用にケーブルを別途敷設する場合であっても、データ回線用と同じケーブルを使用するようにしてほしい。