事業継続とは「バックアップ」を格好良く言い換えた言葉に過ぎないというのは、そう理解している企業も存在するとはいえ間違いである。包括的な事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)によって、火災や洪水、竜巻、あるいは伝染病の蔓延も含めた災害の発生時や発生後にも、ミッションクリティカルな機能を継続させたり復旧させたりするためのロードマップを提供することができる。BCPは、事業に支障をきたす事態が発生する前に、熟考し、文書化したうえで主な従業員に配布しておくべきである。また、そのコピーはオフィス以外の場所に保管しておくべきだ。これは自明のことであるが、見過ごされることもしばしばある。以下に、BCPを優れたものとするために記載しておくべき10項目を説明している。
災害に対する企業の対応は、その災害の性質と規模の双方によって変わってくる。竜巻や洪水といったある種の脅威によって、ITインフラが物理的に破壊される可能性がある。また、伝染病の蔓延のような脅威の影響を建物や機器類が受けることはないものの、人的資源は影響を受ける。サイバーテロによって企業のネットワークがダウンすることもあるものの、ハードウェアや従業員が影響を受けることはないだろう。爆弾によって、人命が失われるだけでなくネットワーク機器が破壊される可能性もある。停電によって機器が使用不能になる可能性があるものの、それらは故障してしまうわけではない。このように脅威はさまざまであるため、BCPを立案する際にはできるだけ多くのタイプの脅威を網羅して対策を立てておくべきである。
いかなる危機管理状況、つまり災害が発生した際と、おそらくは発生した直後に遭遇するどんな状況においても、鍵となる項目は責任範囲の割り当てと指示系統の確立である。こういった状況においては、誰が意思決定権を持っているのかについて部署の責任者同士が口論している場合ではない。そして、ある種の災害によっては、要員の命が失われる(または、災害時に要員の何人かが休暇中であったり、病欠中であったりするかもしれない)可能性もあるため、重要な役割の担い手がその役目を果たせない場合に備えて、代替要員を決めておくべきだ。
また、災害への備えや事故管理、復旧にかかわる主要な従業員の訓練にも取り組んでおくべきである。
BCPには、災害発生時に連絡をとる必要があるかもしれない従業員や組織の最新の連絡先を記載しておく必要がある。災害時には電話番号を調べている時間はない。連絡先としては社内の人員(CEOやCIO、法務担当者など)と、外部要員や専門サービス(警察や消防署、救急隊、警備会社、公益事業会社、ビルのメンテナンス会社など)の双方が必要である。
目の前の危機が去った後は、危機自体を管理し、ものごとを元通りにするためにチームワークが必要となる。BCPでは、一般的な災害のさまざまな側面に対処するための訓練や知識を身につけている専門家からなる災害復旧チーム(DRT:Disaster Recovery Team)のメンバー(安全管理やIT関連、通信関連、セキュリティ、要員管理の専門家など)を任命しておくべきである。DRTのメンバーは、災害時に緊急サービスと協力することになるため、緊急時に必要な機器(携帯電話や懐中電灯、防災用ヘルメット、防護服など)にアクセスできる必要がある。
また、業務復旧チームは、危機が去った後で通常業務を再開することに対して責任を負う。
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