ソフトバンクのiPhone獲得にあたり、ZDNet Japanでは各界の識者が本件を考える緊急連載を開始する。第1回となる今回は「英語道場」でおなじみのエリック松永氏だ。
iPhoneの日本での発売がいよいよ秒読みとなった。6月4日に突如、ソフトバンクが今年中にiPhoneを発売する契約をAppleと交わしたと発表したのだ。
iPhoneが最初に発売され話題になったのは2007年6月――1年も前の事。
マスコミはApple Shopに押し寄せ、購入できた最高に幸せなユーザにインタビューを行っていた。実は筆者も発売とほぼ同時期にiPhoneを入手し、斬新なタッチスクリーンに酔いしれていた。
そんな中、今回の発表を受けて若干しらけムードの自分がいた。
2008年末に発売されるというiPhone。市場での受け入れられ方を考えるにあたって考えなければいけない重要なポイントがある。
「市場はiPhoneを携帯電話と受け止めるか、デジタルオーディオプレイヤーとして受け止めるか」
正直、1ユーザー視点で見れば携帯電話各社から発表された2008年夏モデルは、今一パッとしなかった。カラーバリエーション、UI、画面の美しさ、高画素化するカメラ、新機能、技術革新のどれを取っても面白くない。そんな中でのiPhoneの発表だ。発表された新ケータイに混じるとiPhoneは光り輝くだろう。それは否定しない。
しかし、デジタルオーディオプレイヤーとして受け止められるとどうなるだろう。アップルは洗練されたデザイン、素晴らしいインターフェイスのデジタルオーディオプレイヤーの豊富なラインナップを持っている。
これらの製品群は、2007年に来日したApple本社幹部のStan Ng氏曰く、「iPodの使命は音楽を楽しむこと」というコンセプトの元に開発された製品群だ。アップルの製品は音楽好きにはたまらない。筆者も気付けば、全ラインナップを所持していたりする。
価格面で見てみよう。
大容量のiPod classicが160GBで4万2000円、iPod nanoが8Gで2万3000円、音楽機能のみのiPod shuffleにいたっては2Gモデルが7800円で手に入る。iPhoneに似ているiPod touchは16GBモデルで4万8800円だ。
アメリカではiPhoneの8GBモデルが399ドルに値下げされ、iPod touchの8GBモデルが299ドルと考えると、日本で発売される3G iPhoneが噂通り16GBモデルとすれば、100ドル下げて3万8800円……。
ソフトバンクの新製品ハイティアモデルの現金販売価格が9万円台とすると、かなり魅力的な価格だ(実際の価格はわからないが)。
ソフトバンクがとんでもない価格を付けない限り、iPhoneはミュージックプレイヤーとしても魅力的な価格帯になりそうだ。
しかも、iPhoneはiPod touchに携帯電話機能が付いているというお得感に、マイク、スピーカー、Bluetooth、カメラまでついている。YouTubeでプロモーションビデオを検索し、その場で皆とシェアすることもできるし、方向音痴の私はGoogle Mapsをグリグリしながら初めて訪れるロックバーの目的地検索までできる。
天邪鬼な私は、初めにiPhoneの市場価値はそんなに高くないのではないかと書こう(書きたい)と思っていた。しかし、悔しい事に調べれば調べる程、購買欲求が高まっている自分がそこにいた。正直、実際に触ってみると、その魅力に引き込まれてしまうのがアップル製品のマジック。携帯機能の使えないiPhoneに触れた時の感動が蘇ってきた。
どう考えても、iPhoneは売れてしまう。そして悔しいが私も買ってしまう……それが結論だ(何故、悔しいかといえば、それは私がソニーファンだったからであった……)。
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。
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