ボーランドの開発ツール部門CodeGear事業本部とオープンソース・ジャパン、ネットワーク応用通信研究所の3社は5月22日、RubyとRuby on Railsの普及・発展について業務提携することを発表した。3社それぞれの強みを合わせ連携していくことで、エンタープライズ環境での活用を支援していく。
本提携においてCodeGearが担う役割は製品の提供とマーケティングとなる。CodeGearは先頃、RubyおよびRuby on Railsの統合開発環境(IDE)「3rdRail 1.1 日本語版」の提供を発表したばかり。業務提携はこの3rdRailを軸に展開され、22日から販売を開始することも明らかにされた。
3rdRailの企業向けの販売はオープンソース・ジャパン(OSJ)が担当する。6月上旬に出荷を開始する予定で、インストールと製品操作に関するメールサポートを付加して提供していく。また、ネットワーク応用通信研究所(NaCl)による3rdRailのオンサイトトレーニングもOSJを通じて提供する。
NaClはCodeGearの製品開発に対する技術協力や、OSJの企業向けRuby on Railsサービスの技術支援を行う。NaCl代表取締役社長の井上浩氏は「こうした流れがRubyコミュニティへのメリットになるように活動していきたい」と、協業への意気込みを語っている。
ボーランド CodeGear事業本部長の八重樫行男氏は「3社それぞれが持つ経験、すなわちCodeGearの開発ツールのテクノロジ、OSJの企業向けオープンソースビジネスのナレッジ、NaClのRubyテクノロジに関する経験・ナレッジを相互に共用することで、ソリューションというかたちで企業ユーザーに提供する」との意向を示している。
まつもとゆきひろ氏
記者会見に出席したRuby開発者のまつもとゆきひろ氏は、RubyやRuby on Railsについて、「技術者が個人的な趣味で使うというのが(開発を開始した1993年から)十数年」続いたと語った上で、「ここ数年はビジネス領域でも広く使われ始めている」と語る。TwitterがRuby on Railsを採用しているように、「特にアメリカではRuby on Railsを使う人が非常に多い」という。
こうしたムーブメントが逆輸入されるかたちで、日本でもRailsを一部、あるいは全面的に採用したサービスが登場し始めている。
Ruby on Railsは少人数で素早い開発が可能とされるWebアプリケーションフレームワーク。しかし、八重樫氏は「企業への普及という点で考えた場合、結構課題が多いのではないかと考えている」と指摘。現在は開発者のスキル・経験のバラつき、導入の障壁がどこにあるかわからないという不透明性などから、導入へ向けた「第一歩を踏み出すための踏ん切りがつかない」(八重樫氏)状況だという。
まつもと氏は開発者らしく、業務命令でRubyを使うようになると、IDEはありませんか?という問題が出てくると指摘する。EclipseやNetBeansなどオープンソースのIDEのRuby対応も進んだが、「商用のIDEとして3rdRailが登場し、多様な領域へ突入しつつある」(まつもと氏)。
そこで3社は協業を通じて、ツール、サービス、テクノロジーの三面から導入に向けた支援基盤を構築し、Ruby on Railsの裾野を広げていきたい考えだ。
井上氏は「システム開発は東京に集中しがちだが、Rubyが(案件を)地方に分散させる役割を担えるのではないか」と期待を寄せている。OSJ代表取締役社長の角田好志氏も「エンタープライズ環境では複数メンバーでの開発が必要になってくる」ことから、「特にチーム開発の環境構築を支援」していきたい考えを示している。
なお、NaClが提供していたIDE「Rails Platform」は、「とりあえず今回、新規販売については完了することにして、3rdRailををRuby IDEとして推奨・展開していく」(角田氏)という。既存ユーザーに対しては、3rdRail移行のための優待販売も実施される予定だ。
左から、ボーランド CodeGear事業本部長 八重樫行男氏、ネットワーク応用通信研究所 フェロー まつもとゆきひろ氏、オープンソース・ジャパン 代表取締役社長 角田好志氏、ネットワーク応用通信研究所 代表取締役社長 井上浩氏。
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