アドビシステムズは7月16日、エンタープライズ環境におけるRIAの役割を解説する説明会を開催した。企業内の情報を社内外へ「安全に」「豊かな表現で」「素早く展開する」ためのコミュニケーションソフトウェア「LiveCycle」と、各機能を提供するコンポーネントを中心に、Adobe AIRがLiveCycleで果たす役割も含め、日米の担当者が製品戦略を説明した。
ECMを自前で提供するLiveCycle Content Services ES
アドビが6月18日に発表したAdobe LiveCycle Enterprise Suite Update 1には、新たなコンポーネントとして、LiveCycleとしては初めてECMシステムを提供する「Adobe LiveCycle Content Services ES」と、CADデータをPDFに変換する「Adobe LiveCycle PDF Generator 3D ES」が追加された。
LiveCycle Content Services ESは、LiveCycleのプロセスの自動化を進めるなかで発生する課題を解決するコンポーネント。その課題とはコンテンツリポジトリで、この機能はこれまで、EMC DocumentumやIBM FileNetなどの他社製品がカバーしていた。
ブライアン・ウィック氏
AdobeはLiveCycleの展開において、ECM機能を提供するために他社のECMシステムと連携するコネクタを提供していたが、「顧客から統合環境が欲しいという要望があった」(Adobe SystemsのAdobe Systems プロダクト マーケティング ディレクターのブライアン・ウィック氏)という。
この要望を受け、Adobeは英国のAlfrescoが手がけるECMソリューションの組み込み版を採用、LiveCycle Content Services ESを用意して、自前でこの機能を提供していくことになった。主な機能には、ドキュメント管理、コンテンツの分類と検索、コンテンツの保存、コラボレーションがある。なお、コネクタは引き続き提供を続ける予定だ。
一方のLiveCycle PDF Generator 3D ESは、CADデータをPDFに変換するコンポーネント。製造業者などがCADデータをやり取りする際には、受け手も同じCADパッケージを導入していることが前提。この手法には、両者にパッケージが必要というコスト面と、設計データや機密データなどの知的財産が外部に渡るというセキュリティ面の不安があった。
Adobeはこの分野において、やり取りされるCADデータをPDFに変換し、情報の運用性とセキュリティを高めたい考えだ。
まず運用という点では、PDFであればAdobe Readerを入手するだけで良い。Windows、Mac、Linuxなどの主要プラットフォームに対応しており、さらにこれは無償で利用できる。セキュリティという点ではサーバベースのセキュリティシステム「LiveCycle Rights Management」によるDRM機能で、ファイル閲覧の制限をさまざまに課すことができる。
CADデータをPDFに変換しても、「スペックやビュー、効果を生かしたまま、(データを)評価しやすいようにしており、ただ単に3D化したものではない」とウィック氏。どこにでも付けられる3Dコメントを付して、送付者に返信することも可能だ。
Adobe LiveCycle Enterprise Suiteそのものは、Update 1となってAdobe AIRとの連携を強化した。また、Adobe Acrobat 9やReader 9、Flex 3フレームワークに対応したほか、DRM保護のファイル形式を拡大し、新たにMicrosoft Officeで提供されるファイル形式と、PTCが提供するCADファイルの形式にも対応した。
エンタープライズ環境のRIA
小島英揮氏
アドビシステムズ マーケティング本部 エンタープライズ&デベロッパー マーケティング部 部長の小島英揮氏は、アドビのエンタープライズプラットフォームにAdobe AIRが加わったことを受け、AIRを軸にLiveCycleを拡張したい考えだ。
AIRの特徴は、RIAの名の通り、リッチなビジュアライゼーションにある。小島氏も「我々はバックエンドとユーザーの間のインタラクションを提供する」と語っており、バックエンドでどれほど複雑なデータがうごめいていたとしても、きちんと整形してAIRで分かりやすく視覚化できるのだ。
その最も端的な例は「シャープはAIRで世界を見る」で紹介した「経営コクピット」だろう。SAPの統合アプリケーションプラットフォーム「SAP NetWeaver」を経由してデータを取り込み、AIRで視覚化したシステムだ。
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