IBMの「Blue Gene/L」、スパコン最速記録を更新

Stephen Shankland(CNET News.com)

2005-10-28 15:10

 米ローレンス・リバモア国立研究所とIBMは米国時間27日、「Blue Gene/L」スーパーコンピュータを公開し、このマシンが過去の自己記録を塗り替えて、再び世界最速のスーパーコンピュータになったと発表した。

 IBMは27日、この6万5536個のプロセッサを搭載するマシンが、1秒あたり280.6兆回の計算を処理できる280.6テラフロップスの処理能力を持つことを明かした。この数値はIBMが予想した範囲の上限で、同マシンが半分のプロセッサしかインストールされていない状態で達成した136.8テラフロップスという前回の記録を2倍以上上回っている。

 さらに同研究所は、Blue Gene/Lに比べて知名度では劣るものの、最大100テラフロップスと同等の処理能力を持つマシンも公開した。この「ASC Purple」は、より一般的なIBMサーバ製品を使って構築されている。ASC PurpleとBlue Gene/Lを合わせると、その費用は総額2億9000万ドルとなる。どちらのマシンも、核兵器のシミュレーションなど、負荷の高い計算処理が求められる各種作業に利用されることになる。

 どちらのマシンも、その構築には、高性能なネットワークで大量のプロセッサを接続するアプローチが採られている。しかし、両者の間には違いもいくつかある。ASC Purpleに搭載される1万2544個のPower5プロセッサは、個別ではBlue Gene/Lが搭載する特殊なPowerチップより性能で勝る。また、ASC Purpleプロセッサのほうが大量のメモリにアクセスできるため、複雑なシミュレーションを行うことができる。しかし、消費電力はBlue Gene/Lのほうが少なく、またプロセッサの接続には、大規模かつ複雑な集中スイッチではなく、5つの独立したネットワークを集めて使っている。

 スーパーコンピュータの分野は、かつてはCray、Hewlett-Packard(HP)、Silicon Graphicsなど、研究プログラムの整った企業が独占していた。しかし、主流のプロセッサやネットワークの機能が着実に向上してきたため、大規模な開発プログラムを持たないDellなどの企業もこの市場に参入してきた。

 Blue Gene/Lは1年前に70.7テラフロップスを達成し、初めてTop500スーパーコンピュータランキングのトップの座に就いた。この速度はLinpackという数理テストによって測定されているが、Top500の主催者は、Linpackによるコンピュータの性能測定に不備があったことを認めている(Blue Gene/LがLinpackを動かすと、各プロセッサが数理計算を行うが、多くのジョブでは、システムのプロセッサの半分がネットワーク処理に割り当てられてしまう)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  4. ビジネスアプリケーション

    中小企業のDX奮闘記--都市伝説に騙されずに業務改善を実現したAI活用成功譚

  5. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]