インテルは4月7日から8日にかけて、ユーザー向けの技術展示会「インテル・デベロッパ・フォーラムJapan 2005」を開催した。ベンダー各社による展示はテーマごとに分かれ、企業情報システム関連を18ブース、移動体通信関連を18ブース、家庭に浸透する技術関連を17ブースで構成した。
基調講演では最初に米Intel副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長のアビ・タルウォーカー(Abhi Y.Talwalkar)氏が、同社の技術開発への取り組みを数本のビデオを交えて力説した。半導体チップの製造技術から技術の日常生活への応用まで、広く同社の産業界/社会での位置付けをアピールした。
- 米Intel副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長のアビ・タルウォーカー(Abhi Y.Talwalkar)氏
ワイヤレスUSBをデモ
展示ブースでは、いつくかの興味深い参考出展があった。そのうちの1つがNECエレクトロニクスが展示したWireless USBのデモである。USB接続型のディスクをWireless USB経由でパソコンに接続し、ディスクに収録した映像を再生するというデモ内容だ。現在ではまだWireless USBの規格自体がフィックスしていない中での試作装置だが、「2006年夏くらいまでには搭載製品を市場に出荷できるだろう」としている。
Wireless USBの有線USBと比べたメリットは、USBケーブルを必要としない点である。一方でデメリットは、ケーブルを経由した電力供給ができない点である。また、ファイル/プリンタ共有などで用いられるTCP/IPアプリケーションと比べると、CPUやメモリなど必要なリソースを小さくでき、製造コストを下げられるというメリットがある。例えば、携帯型デジタルカメラのメモリをストレージとして利用する際、ネットワークストレージにするよりはWireless USBでローカルストレージとして使った方が、小型化できる上にコストも安い。
ブレードクライアントを展示
- NECエレクトロニクスが参考展示した開発中のWireless USB装置
参考展示には、日立製作所が2005年夏に出荷するブレードクライアント機「日立クライアント・ブレード(仮称)」もあった。ブレードクライアントは、ブレード型コンピュータ1台を画面操作端末から遠隔操作するクライアントの新形態で、主に情報漏えいを防止するセキュリティ上の需要で注目が高まっている。価格はまだ非公開だが、1台あたりの価格を汎用のデスクトップ型パソコン1台と変わらない価格に抑えるという。
ブレードクライアントを遠隔操作する端末には、ディスクを内蔵しないパソコンが適する。同社は日立クライアント・ブレードの近辺にディスクレス型のノートPC「FLORA Se210」も展示した。同ノートは内蔵するフラッシュメモリに組み込み型OSのWindows XP Embededを搭載する。
- 日立製作所が6月に出荷するブレード・クライアント機「日立クライアント・ブレード(仮称)」
FLORA Se210には、画面情報をやり取りするため、同社の運用管理ソフト「JP1/NetM/DM」のエージェントを導入した。「ブレード・クライアントを操作するための画面情報プロトコルには、セキュリティを考え、あえてMicrosoftのRDPやCitrixのICAといった既存のプロトコルは使わなかった」としている。もちろんFLORA Se210自体はRDPもICAも利用可能である。
日立製作所では、2005年夏にはFLORAブランドでデスクトップ型のディスクレス機を出荷する予定がある。外部キーボードを使うことを前提とするデスクトップ型の需要に応えるものである。