「Jaguar」と呼ばれるスーパーコンピュータ「Cray XT5」が、苦労の末にようやく、世界最速コンピュータの栄誉を手に入れた。
Jaguarは、半年ごとに発表されるスーパーコンピュータランキング「TOP500」で1年以上もの間2位に甘んじていたが、最新のランキングでIBM製「Roadrunner」から首位の座を奪ったという。最新のランキングは、今週オレゴン州ポートランドで開催のカンファレンスSC09で、米国時間11月17日に正式に発表される予定だ。
TOP500のLINPACKベンチマークで、Jaguarは1.75ペタFLOPS(1ペタFLOPSとは1秒間に1000兆回の浮動小数点演算を処理できること)の処理速度を記録して競争に打ち勝った。IBM製Roadrunnerは、1.04ペタFLOPSの処理速度で、2009年6月に達成した1.105ペタFLOPSに比べて若干低い結果となり、2位に押しやられた。今回パフォーマンスが低下したのは、システムのパーティション分割をやり直したことが原因のようだ。
半年に1度TOP500ランキングが発表されるごとに、500位以内に入るための最低基準値が高くなってきている。今回のランキングで最下位(500位)となったスーパーコンピュータの速度は20テラFLOPSで、半年前の最下位の17.1テラFLOPSよりも速くなっている。言い換えれば、今回世界で最も遅いということになったコンピュータは、前回の6月であれば336位になっていたということになる。
同じくCray XT5システムである「Kraken」は、832テラFLOPSの処理速度を記録して、前回の5位から2ランク上昇した。ドイツのユーリヒ総合研究機構(FZJ)のIBM製「BlueGene/P」は、825.5テラFLOPSで4位にランクインした。5位は中国の「Tianhe-1」で、中国製のスーパーコンピュータとしては過去最高の順位を記録した。
上位10位は以下のとおり。
- オークリッジ国立研究所のCray製Jaguar(1.75ペタFLOPS)
- ロスアラモス国立研究所のIBM製Roadrunner(1.04ペタFLOPS)
- 米計算科学研究所(NICS)のCray製Kraken XT5(832テラFLOPS)
- ユーリヒ総合研究機構のIBM製JUGENE(825.5テラFLOPS)
- 天津国立スーパーコンピュータセンターのNUDT製Tianhe-1(563.1テラFLOPS)
- 米航空宇宙局(NASA)エイムズ研究所のSGI製「Pleiades」(544.3テラFLOPS)
- ローレンス・リバモア国立研究所のIBM製「BlueGeneL」(478.2テラFLOPS)
- アルゴンヌ国立研究所のIBM製「BlueGene/P」(458.61テラFLOPS)
- テキサス大学オースティン校テキサス先端計算センターのSun Microsystems製「Ranger」(433.20テラFLOPS)
- サンディア国立研究所のSun Microsystems製「Red Sky」(423.9テラFLOPS)
TOP500ランキングの全データについては、公式サイトを参照されたい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ