IBMは、次世代送電網「スマートグリッド」の制御や金融市場の分析など、リアルタイムに大容量のデータ処理を進めるために強化された新たに「POWER7」プロセッサを搭載する複数の新システムを発表した。
米国時間2月8日に発表されたPOWER7チップは、45ナノメートルプロセス技術で製造され、電力効率の向上といった機能も備えている。IBMは、ロンドンなどの人口密度の高い大都市圏のデータセンターではこうした重要性が増していると述べている。
IBMは、POWER7を搭載する新たな4つのシステムを発表した。「Power 780」は、最大64個のコアを搭載可能なハイエンドサーバであり、「TurboCore」と呼ばれる新機能に対応している。「Power 770」は、最大64個のコアを搭載可能なミッドレンジのエンタープライズサーバである。「Power 755」は、32個のコアを搭載した高性能コンピューティングクラスタノードであり、分析作業向けに設計されている。「Power 750 Express」は、電力効率の向上を目指して設計されたミッドレンジサーバであり、旧モデルとなる「Power 550 Express」の4倍の処理能力が搭載されている。
また、IBMは、「Systems Director」管理ソフトウェアの最新版も発表した。
いまや各POWER7プロセッサには8個のコアが搭載されており、各コアは4スレッドの処理性能を備える。これは、「POWER6」システムに搭載されていた、各プロセッサに2個のコア、各コアに2スレッドの処理性能からアップグレードされている。つまり、各POWER7チップでは同時に32のタスク処理が可能となっており、POWER6チップでの同時に4スレッドの処理性能という設計から向上している。さらに、新設計ではL3キャッシュのオンチップメモリへと移行が進み、RAMは静的ではなく動的に実行される。つまり、1ビットあたり6個のトランジスタではなく1個のトランジスタを使用するため、いくらかパフォーマンスは犠牲となるが、より小さなダイに多くのキャッシュを備えることが可能となる。IBMは、まだパフォーマンスを示す詳細な数値データを公表していない。
同社は、1個のチップで最高32スレッドの同時処理を実現するPOWER7の性能により、インターネット経由で膨大な量のスマートメーター計測を処理するといった、インターネットベースのリアルタイムな作業の処理能力が改善することになると説明している。とはいえ、Power 780などの特定のサーバシステムは異なるコンフィギュレーションでも実行可能である。この異なるモードはTurboCoreと呼ばれており、4個のコアのみで動作しつつ、各コアのキャッシュメモリおよびメモリ帯域幅を増やすことができる。TurboCoreにより、コアごとにライセンスされたソフトウェア利用のコスト削減が実現すると、IBMは述べている。
また例えば、「Intelligent Threads」機能により、スマートグリッドのタスク向けにはスレッドを増やしつつ、各スレッドの高速処理の重要性がより高まるデータベース処理や分析といったタスク向けにはスレッドを減らすなど、同時に実行されるスレッドの数をサーバ側で調整可能となっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ