アマゾンのストレージサービス「S3」に障害--信頼性をめぐりWeb 2.0界に波紋

文:Martin LaMonica(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル

2008-02-18 10:42

 Amazon.com Web Service(AWS)のホステッドストレージサービスが米国時間2月15日の午前中にダウンし、多くのウェブサイトの顧客をいらだたせるとともに、大々的に宣伝されたクラウドコンピューティングの手法に対する懸念を再燃させた。

 15日の午前中、一部のユーザーがAmazonのSimple Storage Service(S3)に保存されているコンテンツがまったく利用できないか動作が遅くなっていることに気づき、それと同時にあるオンラインフォーラムでは顧客の不満が急増した。

 Amazonの技術者によるとサービスは数時間後に復旧した。フォーラムに最初の記事が投稿されたのが太平洋時間帯の午前5時であり、サービスが復旧したのは午前9時を少し過ぎたころだった。

 今回の不具合はブログ界に波紋を投げかけた。これまでウェブ起業家はAmazonのホステッドコンピューティングサービスの利用を増やしてきたが、今後はバックアップ計画やより従来型に近いホスティングプロバイダーが必要ではないかと考慮し始めている。

 同フォーラムでは、今回のサービスの不具合によって事業の運用が一時的に完全に不能になったと不満を述べているユーザーもいる。

 「わたしの新しいサイトではAmazonに2万5000件以上の画像をホスティングしているが、今朝目を覚まして重大な問題が発生していることに気づいた」とある顧客は記している。「S3サービスはすばらしいが、今回の件でS3は信頼できないことがわかった。サービスの障害時間が非常に長かったので特に問題が大きい」

 このウェブサイトの運営者はなんとか社内のバックアップシステムを稼働させることができたが、この作業は自動化するべきだとフォーラムの投稿で指摘している。

 Amazonがコンピュータサービスの確実な運用という面で問題に遭遇したのは今回が初めてではない。

 しかしサービスの導入時からAmazonは積極的にWeb 2.0の新興企業を顧客として獲得しており、顧客の多くは事業の運用をAmazonのコンピューティングインフラストラクチャに依存している。

 例えば、写真共有サイトの「SmugMug」は自前のサーバとストレージ機器の使用を停止し、Amazonの従量制サービスを使用することによって数十万ドルを節約できたと述べている。

 Amazonでは、問題が完全に解決したら技術的な詳細について発表する意向だと述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]