Yahooはこの契約により、年間およそ8億ドルの売り上げ増、初年度の12カ月で2億5000万ドルから4億5000万ドルの営業活動キャッシュフロー増を見込んでいる。第1四半期決算で、広告パートナーに支払った手数料を除外した売り上げを15億3000万ドルと発表したYahooにとって、これは大きな額だ。
「今回の契約は、検索の利益化により財務上の価値を高めるとともに、ディスプレイ広告に転換してユーザーに対する当初からの目的を遂行するという、われわれの幅広い戦略に投資する機会を株主に提供するための資金源となるものだ」と、Yahooの社長Sue Decker氏は声明で述べた。「検索およびディスプレイ広告の統合という、われわれが特に好位置につけている市場における競争力をつけることにより、市場の競争を促進するものだ」(Decker氏)
しかし、株主が短期間で利益を得ることを期待しても、しばらく待たされることになりそうだ。米司法省がこの契約内容を検討し、独占禁止法に抵触しないことを確認できるよう、両社は提携による業務の開始を自主的に3カ月遅らせる予定だ。
Yahooは明らかに提携の将来性に大きな期待を抱いている。しかし、緊密な提携は両刃の剣だ。長期的にみれば、たとえYahooがGoogleとの提携の解消を望んでも、状況をもとに戻すのは困難だとわかるだろう、とCanaccord AdamsのアナリストColin Gillis氏は語った。
「Googleから得られるキャッシュフローから逃れがたくなるのが現実だ」(Gillis氏)
提携の内容に基づき、Googleが提供する検索広告の検索語はYahooが選択することになる、と両社は説明している。この広告は米国およびカナダで表示される。
提携は広告だけにとどまらない。両社はインスタントメッセージサービスの相互利用を可能にし、それぞれのユーザーコミュニティー間の障壁を下げるという。
買収その他の「経営における変化」により状況が変わった場合は、両社いずれの側からでも契約を終了できる。ただし、24カ月以内に経営における変化で契約終了となった場合、Googleの検索広告によって得る売り上げの50%として、Yahooは2億5000万ドルを支払う義務がある。