米国時間6月8日午前、Appleの開発者会議「World Wide Developers Conference(WWDC)」に登場したBertrand Serlet氏は、次々と新製品を繰り出した。「Snow Leopard」が披露されただけでなく、「Safari」と「QuickTime」についても発表があった。Serlet氏は、「Safari 4」のベータ版段階終了とQuickTimeの大幅な改良を明らかにし、MicrosoftとMozillaの両社に攻撃を仕掛けながら、新機能について説明した。
「Mac OS X」ソフトウェア担当シニアバイスプレジデントを務めるSerlet氏によれば、最新版となる「QuickTime 10」は「非常に高機能」となり、H.264およびAACベースのHTTPストリーミングをサポートするという。もっとも、これは、多くの競合プログラムが以前から対応している機能だ。また、再生ビットレートを自動的に調節し、ファイアウォール経由でのストリーミングも可能にするという。
QuickTimeはバージョン7から10へと大きなバージョンアップとなり、インターフェースもまったく新しいものに変わる。ビデオ再生中にオンスクリーンコントロールが表示されなくなるほか、QuickTimeの「Q」のロゴにも少し手が加えられ、色がおなじみの青から銀色と紫に変更される。
Serlet氏はSafari 4の「Nitro Engine」について触れ、市場に出回るブラウザの中で最速のJavaScriptエンジンだと紹介した。Serlet氏は、使用したベンチマークについては触れずに表を示しながら、「Internet Explorer 8」との比較において、「Google Chrome 2」は5.3倍速いが、Safari 4は7.8倍速いと語った。Serlet氏はまた、「iPhone」搭載のSafariと比べて、Safari 4は3倍速くJavaScriptを読み込むと続けた。HTML 5の音声タグと動画タグもSafari 4でサポートされるという。
Serlet氏がやり玉にあげたのはMicrosoftだけではない。「クラッシュの最大の原因はブラウザのプラグインだ」とSerlet氏は語った。拡張可能なブラウザとして最もよく知られているのはMozillaの「Firefox」だが、Safari 4の新機能の1つは、一部のプラグインによってブラウザが不安定になる問題に対応するためのものだ。Safari 4では、プラグインが原因でクラッシュしても、そのクラッシュはプラグインにしか及ばず、ページをリロードすればプラグインが再度読み込まれるという。「そのページをリロードするだけでOKだ。作業が中断されることはない」とSerlet氏は説明した。
後ほど可能になれば、SafariとQuickTimeを実際にテストしてみるつもりだ。QuickTimeのアップデートはとりわけ驚きだった。Appleは長年にわたって、QuickTimeの大幅な改良は行ってこなかったからだ。AppleがQuickTimeのパフォーマンス向上に成功すれば、ウェブブラウザに続いてビデオプレーヤー市場でも熱い戦いが見られることになるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ