Amazon Web Services(AWS)は米国時間8月26日、同社のクラウドと企業のデータセンターを接続するためのセキュアなブリッジである「Amazon Virtual Private Cloud」(VPC)をローンチした。Amazon Virtual Private Cloudは、企業ユーザーから見てAWSに欠けていた大きな要素を補完するもので、これによってクラウド移行へのハードルが下がるかもしれない。
Amazonはブログ記事で、同サービスを図表で解説している。
今回のVirtual Private Cloudへの取り組みは注目に値する。なぜなら、AWSは、EC2の予約インスタンスや長期契約、従量課金制、サービス品質保証契約の導入、さらにはIBMやOracle、BMC、Red Hatといった大手企業ソフトウェアベンダーとの提携によって、この2年間でますます企業が使いやすいサービスになっているからだ。しかし、これまで、Amazonの企業向けクラウドサービスには、ある重要な要素が欠けていた。それは、クラウドコンピューティングはハイブリッド型サービスになるという認識だ。
いわゆる「プライベートクラウド」は、旧式のデータセンターと大して変わらない、過大評価されたカテゴリである。VPCを導入するとどうなるのだろうか。VPCとは基本的に、企業が自社のデータセンターをAmazonのクラウドサービスと接続するときに利用可能な仮想プライベートネットワークトンネルである。Amazonによれば、VPCを利用することで、企業はセキュリティサービスやファイアウォール、不正侵入検知システムをAmazonのクラウドに拡張できるという。
簡単に言えば、何年間も投資してきたデータセンター(もちろん、それに付随するすべての管理ソフトウェアやベストプラクティスも含む)を捨てて、クラウドに完全移行する企業などないだろう。Rackspaceは多くのベンダーと同様に、ハイブリッド型クラウドを売り込もうとしている。クラウドコンピューティングを手がける企業には、2つの選択肢がある。
- ハイブリッド型のクラウドを嘲笑して、純粋なクラウドを提供する企業であることを宣伝する。
- ハイブリッド型が必要な現実を認めて、企業顧客に訴求する。
どちらのアプローチが、より多くの企業顧客の支持を得られるだろうか。
AWSの製品管理および開発者関係担当バイスプレジデントであるAdam Selipsky氏によると、仮想プライベートクラウドは企業顧客からの要望が最も多かった機能だという。VPCはこれまでプライベートベータ段階にあり、IntuitやEli Lillyといった企業がテストを行っていた。Selipsky氏によれば、現在限定ベータ段階に入っているこのVPCプログラムは、以下の機能を備えているという。
- 企業の既存インフラストラクチャとAWSを結ぶセキュアなVPNブリッジを提供する。
- EC2をほかのリソースと同じように扱う。
- 顧客が任意のIPアドレス範囲を指定できるようにする。
- 既存のセキュリティおよびネットワーク技術でクラウドトラフィックを調査する。
- 顧客が所有するCAやCitrixといった企業の管理ソフトウェアでEC2を管理する。
こうしたVPCのアプローチは、いずれすべてのAWSに追加される予定だ、とSelipsky氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ