サンフランシスコ発--Sun Microsystems最高経営責任者(CEO)のScott McNealyは、Apple Computerを変身させたSteve Jobsの能力と同氏の製品を売り込む才能を、以前から高く評価していた。そんなMcNealyは米国時間20日、「iPod」に相当する切り札になると同氏が考えるいくつかの技術を列挙して、Jobsに敬意を表した。
開催中の「Oracle OpenWorld」で講演を行ったMcNealyは、Sunには6つの重要な取り組みがあるという考えを明らかにした。iPodがAppleの再建に大きな役割を果たしたように、これらの取り組みはSunのビジネスを劇的に好転させることに役立つ可能性があるという。もし同氏の考えが正しければ、これらの製品はSunの売上増加や利益率の回復につながるだけでなく、ドットコムバブルの崩壊後に傷ついてしまった同社の名声を回復させるうえでも役立つはずだ。
- 米Sun Microsystems最高経営責任者(CEO)のScott McNealy氏
「われわれは過去5年間にわたって、研究開発に80〜100億ドルを投じてきた。いまその成果が実を結びつつある」とMcNealyは言う。「これらの取り組みのどれもが、われわれのiPodになり得ると私は考えている。すべてが大当たりすると期待したいところだが、バリー・ボンズの打率程度に取り組みを成功させるだけでもたいへん結構だ」
McNealyが挙げた切り札は以下の通り:
- 「Galaxy」シリーズのx86サーバ。Sun共同創設者の1人であるAndy Bechtolsheimが設計したこのマシンは先週発売された。同社は長年x86サーバの市場を敬遠してきたが、現在ではAdvanced Micro Devices(AMD)のOpteronプロセッサを活用することで、2006年末までに第4位の市場シェアを獲得したいと考えている。
- 「UltraSparc」プロセッサと主力製品のUnixサーバ群。Sunは同日、前機種に比べて2倍のパフォーマンスを誇るUltraSparc IV+プロセッサを搭載したサーバを投入した。
- 「Solaris 10」。同社が2005年初めに、オープンソースソフトウェアとしてリリースした同OSは、開発者やユーザー、ソフトウェア関連のパートナーを引き付け、さらにサポート契約の獲得にもつながると同社は期待している。「巨大なコミュニティをつくることでしか、差別化できない。そして大規模なコミュニティがなければ、利益を上げることも難しい」(McNealy)
- StorageTek。Sunが約30億ドルで買収したテープストレージメーカーのStorageTekは、同社にIBMユーザー層に食い込む手がかりや、ストレージ関連の大規模な営業部隊をもたらすことになる。
- 「Java Enterprise System」。Sunでは従来、6つのサーバソフトウェアをすべて含むこのスイート製品を従業員1人あたり年間140ドルでライセンスしていたが、その後一部の機能を組み合わせた新製品を1人あたり年間50ドルで利用できるようにした。
- シンクライアント製品(ユーザーが利用する「Sun Ray」ターミナルと、実際の計算処理を行うサーバソフトウェアの両方を含めて)。SunはMicrosoftにリモートディスプレイ・プロトコールをライセンス供与し、中央サーバが動かすWindows用デスクトップアプリケーションをSun Rayで使えるようにした。この動きによって、PCを捨て、代わりにシンクライアントを導入することが容易になったとMcNealyは説明した。
McNealyによると、サンではシンクライアントに関してさらに壮大な計画を用意しているという。シンクライアントは現在ブロードバンドやWi-Fi経由で利用することが可能だが、これが将来は3Gの携帯電話ネットワークでも使えるようになり、またVoIPの機能も併用できるようになるという。
さらに、Sunはシンクライアントのデスクトップコンピューティング機能を、サービスとして顧客に販売することになると見込んでいるとMcNealyは付け加えた。「このディスプレイグリッドサービスはまだ発表されていないが、先々1ディスプレイにつき1日1ドルで提供できると思う」(McNealy)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ