Intelは米国時間3月5日、Advanced Micro Devices(AMD)が同社に対して起こした反トラスト訴訟に関係する書類の一部を紛失したことを明らかにした。AMDは、Intelの発表を即座に批判した。
Intelによると、同社は2005年6月にAMDに提訴された後にドキュメント保存システムを導入したが、人為的ミスにより、複数の文書(主に電子メール)が同システムから紛失したという。AMDは、Intelが特定の顧客がAMD製チップを使用するのを阻止するために一部の顧客を選んでリベートを提供したと訴えた。
Intelは、この訴訟を担当する米地方裁判所判事のJoseph Farnan氏に宛てた書簡の中で、「Intelはこの(関係書類の紛失)問題を大変真摯に受け止めている。このような事態になり誠に遺憾だ」と述べた。IntelとAMDは、今週中に予定されているこの訴訟のスケジュール調整会議に出席し、この問題について議論する予定だ。
AMDは、Intelの(書類紛失の)発表に対し即座に反応した。AMDは5日にデラウェア州連邦地方裁判所に提出した書類の中で次のように述べている。「どうやら今回の証拠書類の紛失は、Intelのお粗末な連絡ミス、準備が不十分なドキュメント保存計画、外部弁護士の監督不行き届きという複合的要因によるものと見られる」
しかしIntelは、Farnan判事に宛てた書簡の中で、同社はAMDに提訴された翌日にデータを同社のネットワーク上に保存し、その後、およそ600人の従業員に対し、特定の情報を保存するよう要請する通知を送ったと述べている。しかし同社は、それらの従業員に「送信済み」フォルダに入っている電子メールを保存するよう指示しなかった。Intelでは、(各従業員の設定により)数週間か数カ月前の電子メールは自動的に消去されるため、問題のメールメッセージも消去されてしまった。
また2006年には、文書保持規定の対象者として複数の従業員が新たに追加され、対象者リストにも記載してあったにも関わらず、Intelはそれらの従業員に文書保存要請の通知を送付していなかった。さらに、IntelはAMDから提訴された後に同社のネットワーク上でデータを保存したが、同社はドイツのミュンヘンにある複数のオフィスの「ごく少数のバックアップテープ」が消去されているのを発見した。
しかしIntelの広報担当であるChuck Mulloy氏によると、同社は、消失した文書の一部は、保存済みの他の文書を組み合わせることによって再生可能と考えているという。例えば、送信したメールに対する返信メールが送信者の受信箱に保存されている可能性が高い。つまり、リストに掲載されているIntelの他の従業員らが書いたメールの内容が返信メールにコピーされており、そのメールが彼らの受信箱に保存されている可能性がある。