米証券取引委員会(SEC)の米国時間7月2日付けの文書によると、OracleのLarry Ellison氏が株式の過半数を保有するオンデマンドアプリケーション会社NetSuiteが、オークション形式の新規株式公開(IPO)を申請したという。
同社は、申請費用から、7500万ドルの増資を希望していると見られる。現在、Lawrence Investments傘下のTako Venturesが、NetSuiteの経営権を所有している。Lawrence Investmentsは、Oracleの創設者兼最高経営責任者(CEO)であるLarry Ellison氏が所有している。
Ellison氏の関連会社と親族が、同社株式の74%を保有しており、IPO後も経営権を保持するものと見られている。このことが投資家の投資意欲を冷ますことにならないかどうか、疑問視されている。
Ellison氏が過半数株式を保有している中で、将来的に、NetSuiteの経営陣や他の出資者がもっとも利益の多い方法だと考えても、同社の買収を拒否される可能性がある。また、株式の50%以上を保有することで、Nasdaqとニューヨーク証券取引所の課す経営基準がいくつか免除される。
それでも、このタイミングはIPOの好機かもしれない。
Thomson FinancialのアナリストであるMatt Toole氏は、申請件数で見ると2007年第2四半期は2004年以来、最大規模のIPO数であると述べた。同期に申請された26件のIPOのうち、13件が技術関連となっている。
NetSuiteは、ホステッド型の顧客関係管理(CRM)ソフトウェアを提供しており、Salesforce.comの競合企業と見られている。法人向けの統合基幹業務(ERP)ソフトウェアやEコマースも扱っている。
2006年の売り上げは6720万ドルで、前年から84.6%の増加となった。SECの文書によると、2007年第1四半期の売り上げは、71.8%増の2320万ドルだったという。
しかし同社は赤字が続いており、2006年には2340万ドルの損失を計上している。2007年第1四半期の純損失は、370万ドルだった。SECの文書によると、第1四半期までの累積赤字は1億9300万ドルだという。
NetSuiteは、発行する株式の数や株価を明らかにしていない。同社は、調達した資金は運営資本にするほか、Ellison氏のTako Venturesからの担保付ローン2000万ドルの未返済分の支払いにもあてる計画である。2007年3月の時点で、NetSuiteはTako Venturesから、ローンで750万ドルを借り入れている。
NetSuiteとOracleは、複数の提携を結んでいる。NetSuiteは2005年、Oracleの複数のソフトウェアとサービスに関して、250万ドルの永久ライセンス契約を締結している。NetSuiteはまた、2006年には、対等取引により、54万2000ドル相当のソフトウェアをヨットレース企業連合Oracle Racingに提供し、オフィシャルサプライヤーとしてのマーケティングとプロモーションを担当している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ