また、Szulik氏は取材の中で、そういったテクノロジ業界出身の候補者たちについて、「大企業を出て、Hewlett-Packard(HP)、IBM、Oracleといった後ろ盾がなくなってしまえば、何もできないような人たちだった」と付け加えた。
Linux業界トップのRed Hatは、意表を突く今回の人事と同時に2008会計年度第3四半期(11月30日締め)の決算も発表している。それによると、同四半期におけるRed Hatの売り上げは前年同期比28%増の1億3540万ドルで、純利益は前期比11%増の2030万ドル(1株あたり10セント)だった。同社はまた、2008会計年度通期の見通しについて、売上予測を5億2100万ドルから5億2300万ドルに、利益予測を1株あたり約70セントに上方修正した。
Red Hatが20日に提出した報告書によると、Whitehurst氏の年俸は70万ドルで、ボーナスもそれとほぼ同額となりそうだ。また、アトランタからの転居費用として最高15万ドルが支給されるほか、普通株式50万株と制限付き株式17万5000株を購入できるストックオプションも付与される。
Red Hatによると、Whitehurst氏は2002年から2007年8月までDelta Airlinesに在籍していたが、その前はコンサルティング会社のThe Boston Consulting Groupにいたという。
Red Hatの戦略転換
Szulik氏は、Red Hatのトップとしてビジネス戦略の大転換を指揮した。2003年までは、無料でダウンロードできる「Red Hat Linux」がRed Hatの唯一の製品で、同社は技術サポートを有料で提供していた。そのため同社のビジネスは、無料ソフトウェアを入手したユーザーを有料の顧客に転向させられるかどうかにかかっていた。
しかし、その後の劇的な変化によって、2種類の製品が存在するようになった。1つは「Red Hat Advanced Server」で、現在の「Red Hat Enterprise Linux」につながるものだ。これはサポートを含んだサブスクリプション契約になっていて、サーバ単位での購入が義務付けられている。もう1つは無料の「Fedora」だが、テストが完全には終わっていない新機能の検証用として提供されており、ひんぱんにアップデートされる。そのため、サポートは非公式でその期間も短い。
無料で使えて有料サポートも利用できる製品がなくなったことに腹を立てるユーザーもいて、この戦略転換は、Canonicalの最高経営責任者(CEO)であるMark Shuttleworth氏がRed Hatと競合する「Ubuntu」をリリースするきっかけになった。しかし、Red Hatの財務面での成功について議論の余地はほとんどない。
新規株式公開(IPO)を行う直前にあたる、1999年5月31日に終了した四半期のRed Hatの売り上げは270万ドルだった。それに対して、2007年11月30日に終了した四半期の売り上げは1億3540万ドルだ。
Szulik氏は、別れの挨拶を述べたブログのメッセージのなかで、オープンソースソフトウェア運動が成し遂げた進歩を誇らしく思うと書いている。
「オープンソースコミュニティとRed Hat関係者は、開発者と顧客の現代的な経済関係をわれわれ自身の行動によって定義しつつある。われわれの財務状況と市場の強い潜在力からも明らかなように、われわれの顧客と市場の反応はいい。1998年には冗談だと思われていたことが、今はもう、そうではなくなっている」(Szulik氏)
数々の問題をくぐり抜けて
会社が成長して従業員数が3000人を超えたこの数年間に、Szulik氏は以下のような多くの問題に対処を迫られた。
- NovellによるSuSE Linuxの買収。世界第2位の市場シェアを持つLinuxバージョンが有名なソフトウェアブランドと結びついたことがIBMに支持され、Novellは5000万ドルの投資を受けた。SuSE Linuxを買収して以来、Novellの財務状況は苦しいようだが、市場では依然としてRed Hatのいちばんのライバルだ。
- SCO GroupによるLinux関連訴訟。オリジナル版UNIXオペレーティングシステム(OS)の知的財産を獲得した元Linux販売業者のSCO Groupは、IBMがオープンソースのLinuxにUNIXのコードを利用し、UNIXに関する契約に違反したとして提訴、SCO Groupが保有する知的財産の範囲が争点となった。SCO Groupは訴訟におおむね敗訴し、連邦破産法第11章の適用を申請した。
- Oracleの「Unbreakable Linux」プログラムの登場。これは、Red Hatが公開しているソースコードを含まないLinuxを開発し、比較的低価格の有償サポートを提供するというものだ。しかし、Oracleの挑戦もRed Hatの成長を押しとどめることはできず、Red Hatはなおも、CIO Insightによる価値調査で首位の座を維持している。
- 知的所有権をめぐるMicrosoftからの挑戦。Microsoftは、無料オープンソースプログラム運動を非難する姿勢を見せた後、一時的に友好的な態度を示したが、2007年になると力に訴えて威嚇する姿勢に戻った。LinuxとLinux関連のオープンソースソフトウェアは著作権を侵害しており、LinuxユーザーはMicrosoftに著作権使用料を払うべきだというのだ。これまでのところ、LinuxユーザーはLinuxを利用し続けているが、LinuxはMicrosoftによるPC支配にさほど影響を与えていない。
- 2004年に行った決算修正。Red Hatは、サポート契約売り上げの会計処理方法を変更した。
- オープンソースのサーバソフトウェアメーカーであるJBossの買収。買収によりRed Hatは財務目標を達成できなかったが、先の四半期には100万ドル以上に相当するJBossソフトのサポート契約を2件結んでおり、かつてないほど将来に向けて契約の道筋が整っている、とSzulik氏は述べている。
Szulik氏はJBossソフトについて、「アプリケーション環境への売り込み方法を学ばなければならなかった。技術の購入者層が異なるためだ」と語った。JBossソフトは、OSを購入するときのように「大至急必要という感じではなく」、新しいサーバの購入がきっかけで購入されることが多いという。
途中で低迷した多くのLinux製品とは異なり、Ubuntuは今もライバルだが、Ubuntuを支えているCanonicalは今後、本格的なビジネスへの移行という難しい試練に直面する、とSzulik氏はみている。
Szulik氏は、既存のオープンソース製品を集めて統合するUbuntuの手法に言及して、「パッケージを作ることにかけては、彼らは創造的だと思う」と述べた。「統合された製品を無料で提供できるということと代金を払ってもらうことには大きな違いがある。報酬に対する期待がゼロのときには、何もかもがハリウッド映画のようだ」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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