日本ベリサインは6月に迎えた新社長兼最高執行責任者(COO)、古市克典氏の就任記者会見を6月26日に開催した。米国のVeriSignは2007年からワールドワイドで事業の見直しを図っており、創業者であるJames Bidzos氏が同社会長に復帰。また、日本ベリサインの会長職も兼務することで日本市場へのコミットをより明確にしていた。
取るべき進路に向けて旋回中のベリサイン
VeriSignは1998年のNASDAQ上場以来、拡大路線をひた走ってきた。2000年から2007年の間に49社の企業買収も行っている。しかし、「事業の拡大」は「事業の集中」を揺るがす結果となってしまった。
VeriSignの創業者で取締役会長のJames Bidzos氏。日本ベリサインの代表取締役会長も兼務している。
「49社の買収によって、そもそもの起業主旨であったセキュリティインフラに関わるビジネスというフォーカスから外れてしまう事業が出てきた。買収した会社の中には、着メロの企業、コンテンツ企業、携帯電話のアドレス帳の企業などもあり、フォーカスがぶれてしまっていた」と、Bidzos氏は語っている。
VeriSignは2007年に事業の再評価を実施しており、取締役会で拡大路線をはじめとする経営戦略の転回を決定した。同社のIR資料によれば、転回後は「コアビジネスへの集中と、それ以外の全ビジネスの売却」が掲げられている。
同社が示すコアビジネスとは「サーバ証明書」「ドメインネームサービス」「ID保護」の3つ。1995年にVeriSignを創設して2001年に同社取締役会長を退任したBidzos氏が、2007年8月に取締役会長に復帰したのも、こうした社内改革の一環とみてよいだろう。
Bidzos氏は2008年3月、日本ベリサインの代表取締役会長に就任している。こうした動きも「日本市場へのコミットの現れ」(Bidzos氏)とのことだが、同時に米VeriSignの変革が日本ベリサインの事業にも確実に影響を及ぼすとみてのことであろう。
Bidzos氏は、日本は米国に次ぐ市場規模という点に加え、戦略的な重要性もまた指摘している。
「日本は世界でも先進的な通信インフラを保有しており、新興国は日本の状況を見据えたかたちでインフラを構築している。つまり、日本は模範のような市場なのだ」(Bidzos氏)
多国からモデルケースとして見られている日本市場に深くコミットすることが、VeriSignにとって戦略的に重要であるということだ。
事実、VeriSignはこれまでも日本市場に深くコミットしてきたとBidzos氏は語る。日本ベリサインが東証マザーズに上場していることから、「日本市場や投資家に対して責任を持つという(コミットメントの)現れだ」と強調する。
「日本ベリサインの新戦略は、パートナーとの関係を確固たるものとして構築し、日本市場のニーズにしっかり応えていける体制を作ること。新しいリーダーを選定し、(経営体制を)刷新していくということも行った。日本ベリサインの将来について、期待と確固たる信頼を持っている」(Bidzos氏)
日本ベリサインの舵取り役は通信インフラを知り尽くした男
日本ベリサイン 社長兼COO 古市克典氏
日本ベリサインの舵を取る古市氏は、自身のキャリアを日本電信電話から始めている。以後、日本ルーセント・テクノロジー 経営企画部 部長、レベルスリー・コミュニケーションズ 経営企画部兼プロダクトマーケティング部 上席部長、リーチ・ネットワークス 副カントリーマネージャー、PRTMマネジメント・コンサルタントのパートナーなどを歴任してきた。
古市氏は「(PRTM在籍時)どこかのタイミングで事業会社に戻ろうと思っていた」こと、またNTTやレベルスリー・コミュニケーションズで通信インフラに関わった経験を生かすことを考えていたため、「日本ベリサインからお話があったときは、さほど迷うことなく決めることができた」と語っている。「私のバックグラウンドともぴったり一致する。必ず貢献できると思い、入社を決意した」そうだ。
「日本ベリサインは、技術力、運用力、ブランド力と、社内の力が強い」と古市氏。「特にブランドは日本だけでなく、グローバルレベルでとても強力なものをもっている」と自信を見せる。
社長就任から4週間あまり経過し、古市氏は今、「持続的な成長をしっかりやっていけるような会社にしていきたい」と意欲をみせている。
握手を交わすBidzos氏と古市氏
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