Advanced Micro Devices(AMD)が米国時間3月16日に明らかにしたところによると、Intelは、AMDがアブダビ政府と合弁で設立したチップ製造会社をめぐる懸念が払拭されない限り、2001年にAMDとの間で締結したクロスライセンス契約を60日以内に打ち切る計画だという。
今回のIntelの警告は、AMDが同社とアブダビ政府との合弁企業GLOBALFOUNDRIESに同社の製造部門を移管する計画を発表したのを受け、Intelが5カ月以上前に表明した懸念がエスカレートした結果だ。
GLOBALFOUNDRIESの株式の55.6%は、アブダビの政府系投資会社Advanced Technology Investment Co.(ATIC)が保有するが、AMDとATICは今後も同等の議決権を保持する。この契約が正式にまとまったのは、3月に入ってからだ。
IntelとAMDが2001年に締結したクロスライセンス契約には、ライセンスと特許の移転に関する制限が設けられている。また、この契約期間は2010年までと設定されている。
Intelは、今回の警告に踏み切った理由として、2001年のクロスライセンス合意の条項の下では、GLOBALFOUNDRIESはAMDの子会社とは認められず、従って、GLOBALFOUNDRIESはIntelの特許に対するライセンス権を有しないと考えているためだと主張している。
Intelの法律顧問を務めるBruce Sewell氏は声明で次のように述べている:
「知的財産は、Intelが技術分野でリーダーシップを発揮する上で必要不可欠なものだ。Intelは30年以上にわたり、知的財産を適性な対価と交換でライセンスすることの戦略的重要性を認識してきた。しかしながら、AMDはIntelの同意なしに、Intelのライセンシング権をサードパーティーにまで拡大することは許されない」
これに対し、AMDの法律顧問のHarry Wolin氏は、AMDではGLOBALFOUNDRIESをAMDの子会社と考えており、今回のIntelの警告はライバル企業を封じ込めを狙ったものだと反論している。
またWolin 氏は、(Intelが今回のような行動に出たのは)ATICがGLOBALFOUNDRIESを通じてAMDに最先端の製造技術の取得に要する資金を提供すれば、Intelとその半導体工場にとって、より大きな競争上の脅威になるため、と付け加えた。
またAMDは、今回のIntelの行動は、日本、韓国、米国でも争った独占禁止法違反をめぐる欧州委員会との闘争から世間の目をそらす目的もあると見ている。
AMDは、2001年のIntelとの合意によりIntelのx86アーキテクチャを使ったチップの製造が可能だが、逆にIntelに同社のチップに関する特許の使用を認めている。
AMDとIntelは、1976年から互いの特許をライセンス供与し合う関係にある。
しかし、今回のIntelの警告により、両社の関係に変化が生じる可能性がある。AMDが16日に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、IntelはAMDに送付した書簡の中で、AMDによる合弁企業GLOBALFOUNDRIESの設立はクロスライセンス契約の重大な違反に当たり、この合意違反が是正されない場合は、60日以内にクロスライセンス契約に基づく権利やライセンスの供与を打ち切ると主張しているという。
AMDは、両社が調停を通して問題の解決を図っていること、互いに相手側が2001年の契約に大きく違反していると考えていることを明らかにしている。
2001年の合意では、大きく契約に違反したとみなされた側の企業が、相手企業側の特許やライセンスにアクセスできなくなるという取り決めがなされていた。
AMDは提出した文書で、「われわれはクロスライセンス契約に違反していないものと強く信じている。また、このクロスライセンス契約をたてに、AMDの権利やライセンスを終了させる権利はIntelにはない」としている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ