SAPは現地時間10月28日、2009年度第3四半期決算(7-9月期)を発表した。純利益は前年同期比で12%増加したものの、売り上げが9%の減少となった。さらに通年の売り上げも以前の見通しよりさらに大きく落ち込むとの見方を示したため、これを受けて同社の株価は午前の取引で7%以上急落した。
第3四半期のSAPの純利益はGAAPベースで4億3500万ユーロと、2008年度同期の3億8900万ユーロと比較して上昇した。この利益の増加は、経費の削減、および買収関連費用に課される税率の緩和(2008年は31.9%だったが、2009年は21%に下がった)によって、利益幅が改善したことによるものだとSAPでは分析している。
SAPの最高財務責任者(CFO)Werner Brandt氏は声明の中で「売り上げの減少にもかかわらず、この四半期も利益幅の増加を報告できることを喜ばしく思う。これは、厳格な経費管理が引き続き功を奏していることの表れだ」と述べている。
ただし、売り上げは減少しており、前年同期の28億ユーロ弱から25億ユーロ強になった。売り上げの落ち込みが最も激しいのはソフトウェアで、前年同期の7億6300万ユーロから5億2500万ユーロへと31%も減少した。一方、関連サービスの売り上げは3%の落ち込みだった。
また、通年の業績見通しも下方修正されている。SAPは、ソフトウェアとサービスを合わせた2009年の売り上げについて、6〜8%下落するとの見通しを明らかにした。これは、4%から6%の下落という以前の予想を下回るものだ。SAPは現在、世界中でソフトウェアとサービスに対する需要の低下に見舞われている。
「一般的な環境には安定化の兆候が見られるが、この市場はいまだに難しい。第3四半期のソフトウェアおよびソフトウェア関連サービスの売り上げが当社の見通しを下回った主な理由は、新興市場と日本でとりわけ状況が厳しかったためだ」とBrandt氏は語った。
この流れを断ち切るために、SAPはこれまでより小規模かつ長期の契約を成立させることに集中している。
SAPの最高経営責任者(CEO)、Leo Apotheker氏は声明で「支出に厳しい状況が続いているものの、より小規模な案件に取り組んだ結果、当社の大規模事業にさらなる大きな変化が起こっており、われわれはこれを歓迎している。また、現在は長期契約を推進しているが、これによって顧客はソフトウェアを長期にまたがって購入、利用することになるため、SAPと顧客の双方にとってよい変化だと考えている」との認識を示している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ