欧州委員会のJose Manuel Barroso委員長が現地時間11月27日にベルギーで発表した新人事によって、競争政策担当委員Neelie Kroes氏と通信担当委員Viviane Reding氏はそれぞれ新しい職務を担当することになった。
Kroes氏はデジタル政策担当委員に就任し、欧州ネットワーク情報セキュリティ機関(ENISA)とIT活動を支援する情報社会総局を監督する。同氏はこの職務で、コンテンツへの増加するオンラインアクセスと、デジタル経済に責任を負う。また、Kroes氏は欧州委員会の委員で構成されるEuropean Collegeの副委員長にも指名された。
5年間にわたって競争政策担当委員を務めたKroes氏が就任当初に手がけたのは、Microsoftの独占禁止法違反に対する調査だった。その結果、Microsoftは4億9700万ユーロ(4億5100万ポンド)の罰金を支払った上に、サーバ製品に関する情報を競合企業に開示しなければならなくなった。Intelの独占禁止法違反を調査し、10億ユーロの罰金を科したのも同氏の働きだ。
Kroes氏は最近、OracleによるSun Microsystemsの買収やMicrosoftのブラウザバンドルといった独占禁止法事案を担当していた。
Kroes氏に代わって競争政策担当委員に就任するのは、これまで経済政策と通貨ユーロの責務を負う経済および金融担当委員を務めていたスペインのJoaquin Almunia氏だ。
Kroes氏はReding氏の職務を引き継ぎ、Reding氏は情報社会およびメディア担当委員から司法、基本的人権および公民権担当委員になる。同氏もEuropean Collegeの副委員長に任命される予定だ。
Reding氏は、「Telecoms Reform Package」法案の制定に尽力した。同法案に関しては、違法ファイル共有常習者のブロードバンドサービスを遮断することが認められるべきかどうかという、いわゆる「スリーストライク」条項を巡って議論が巻き起こった。この法案が最優先としている目的は、ナンバーポータビリティの改善とデータ漏洩の告知だ。同氏は、行動ターゲティング広告企業のPhormを巡る議論についても、英国政府は市民のプライバシーを十分に保護していないとの意見を表明している。また、書籍のデジタル化に関するGoogleとの議論にも参加している。
欧州委員会の各委員が新しい職務に就くには、2009年1月に欧州議会の承認を得なければならない。Barroso委員長は全部で女性9名を含む26名の委員を指名し、7名の副委員長を任命した。
新しく「EU外相」に選出された英国のCatherine Ashton氏は、European Collegeの筆頭として、必要な場合にはBarroso委員長の代理を務めることになる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ