台湾のチップメーカーであるElan Microelectronicsは、「iPhone」や「iPod touch」、さらには発売が迫る「iPad」などの複数の製品で採用されているマルチタッチ技術をめぐり、Appleを提訴した。
Elan Microelectronicsは米国時間3月30日、「同時に2本以上の指の存在を感知する能力を有するタッチ感応式の入力デバイス」に関する同社の保有特許をAppleによって侵害されたとして、米国際貿易委員会(ITC)に訴状を提出した。
Elan Microelectronicsは、iPhone、iPod touch、「MacBook」と「Magic Mouse」の4製品が、同社の保有する第5,825,352号の特許を侵害していると主張しており、4月3日に発売されると、iPadも同特許を侵害する製品になると語っている。同社は、この5製品を米国内に輸入して販売できないようにする差し止め命令を、ITCに対して求めている。
同社は3月30日に声明を出して「Appleが進める特許侵害行為に対し、特許権の保護に継続的に取り組むわれわれの努力の一環で、ITCに訴状を提出するステップへと踏み出すことになった。ITCにおける手続きは、われわれが特許を行使する上で迅速かつ効果的な手法を提供するものになる」と述べた。
この件に関してAppleにコメントを求めたものの、現時点では回答が得られていない。
Elan Microelectronicsは、同社の保有する特許が「これから登場するいかなるマルチタッチアプリケーションでも実装可能な複数の指の動きを検出する基本的な特許」であるため、同特許の行使を求めていることを明らかにしている。
同社は、これまでにも同特許権の保護を求めて争い、成功例がある。同社は2008年に米連邦地方裁判所にてSynapticsを提訴し、Synapticsの複数のタッチ対応製品が、Elan Microelectronicsの保有特許を侵害しているとの判断が示された。結局のところ、両社はライセンス契約を結ぶことで合意に至っている。
Appleが同様の理由で他の携帯電話メーカーを提訴したところであることを考えると、マルチタッチに関する特許をめぐって同社が訴えられたのは皮肉なことでもある。Appleは、iPhoneのグラフィカルインターフェースおよびソフトウェアに関連した20件の特許を侵害しているとして、HTCを提訴し、ITCに訴状を提出した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ