デスクトップ・パブリッシング用アプリケーションを開発するAdobe Systemsが、マルチメディア・アプリケーションメーカーのMacromediaを34億ドルで買収すると発表した。全額株式の交換によるこの買収で、強力なソフトウェアメーカーが誕生することになる。
この買収で、さまざまなオペレーティングシステム(OS)やハードウェアに対応するマルチメディアコンテンツ制作/配信ツール群を保有するソフトウェアメーカーが生まれることになると、両社は米国時間18日に語った。両社は、今回の合併により携帯端末などの小型機器に搭載されるオーディオ/ビデオアプリケーション市場へ進出拡大が加速できると強調した。
Adobeの最高経営責任者(CEO)Bruce Chizenは、この買収により、数多くの新興市場に新技術を投入できる一段と強力な会社が誕生すると、電話会議のなかで述べた。
「Adobeのミッションは、人と組織がより良いコミュニケーションを行えるように力を貸すことだが、今回の買収はこのミッション遂行能力を強化するものだ。文書や画像、ウェブ、テレビ、あるいは新しい無線機器やその他のデバイスなど、われわれが情報にアクセスするのに使う手段は今後も進化していく」(Chizen)
Abodeの株価は18日午前の取引で、7ドル22セント(12%)安の53ドル44セントとなった。一方、Macromediaの株価は2ドル55セント(8%)高の36ドルだった。
Adobeは、オンラインで文書を表示するためのPDF(Portable Document Format)技術で最もよく知られている。一方、MacromediaにはFlashという代表的な製品がある。
Chizenによると、合併後の会社はさらに幅広いユーザー層に対応できるようになり、マルチメディアソフト分野の進化に合わせて新しいツールやサービスを提供できるようになるという。
「コミュニケーションの方法を定めるフォーマットや標準は急速に変化しており、情報をつくる立場の人間は、どうすれば情報を効率よく制作/配信/管理できるかという課題に直面している」(Chizen)
Chizenは、2月に行ったCNET News.comとのインタビューのなかで、Adobeが大企業向けのソフトウェアに重点を移していることや、MicrosoftやApple Computerのソフトウェアが与える影響について語っていた。
「今では多くの国の政府機関がPDFの利用を推奨し、PDFを事実上の標準と見なしている。その数を考えただけでも、後発であるMicrosoftが、これらのワークフローをすべて白紙に戻すことができるとはとても思えない」と同氏はその際に述べた。「しかし相手はMicrosoftであり、彼らの売上は400億ドルもある」(Chizen)