ホワイトハウスのサイバーセキュリティアドバイザーを務めたこともあるHoward Schmidtが、プログラムのセキュリティについて、それを記述したソフトウェア開発者本人に説明責任を負わせるべきだと発言した。
現在はR&H Security ConsultingのCEOを務める同氏は、SecureLondon 2005カンファレンスにおいて現地時間10月11日、ソフトウェア開発者により充実したトレーニングを提供する必要があると指摘した。同氏は、多くの開発者が安全なコードを記述する上で必要なスキルを身につけていないと確信していると述べている。
Schmidtは、「ソフトウェア開発者は、自身の記述したコードが安全であることを個人のレベルにおいて保証する必要がある」と述べた。また同氏は講演の中で、最近会ったという、SSLを利用してバックエンドのデータベースとデータ送受信を行うウェブアプリケーションを構築した開発者らを例に挙げた。
同氏は「彼らは強力な認証の仕組みや、強固なパスワード、暗号化された通信路を用意していた。また、格納されるデータの暗号化を行っていた。しかし、そのデータが購買担当者のオフィスに送信される際には、ただのテキストファイルとして送信されていたことが発覚した。これではエンドツーエンドのソリューションとはいえない。開発者のもとに行き、『これでセキュリティは完璧なのか?』と問えるよう、個々の開発者に対してエンドツーエンドのソリューションに関する説明責任を求めることができるようにしなければならない」と述べている。
同氏はまた、ソフトウェア開発者の64%が安全なアプリケーションを記述する自信を持てずにいるいう、Microsoftが先ごろ発表した調査結果にも言及した。Schmidtは、ソフトウェア開発者により優れたトレーニングを提供すべきだと主張する。
「これまで、ほとんどの大学のコースはセキュリティではなく、使い勝手、拡張性、管理のしやすさに重きをおいてきた。今では、多くの大学が情報保障やセキュリティを重視するようになったが、ウェブアプリケーション開発は従来より、マウスのクリック回数、すなわち、いかにしてユーザーにクリックさせるかで評価されてきた」(Schmidt)
Schmidtは、ソフトウェア開発企業も、従業員の採用時にセキュリティに関するスキルの有無をチェックする役割を果たすべきだという。
英国コンピュータ学会(British Computer Society)は、ソフトウェア開発において説明責任が存在すべきであるという点には同意するものの、コードのセキュリティに対して責任を問われるのは、そのコードを記述した従業員ではなく企業であるべきだとしている。
英国コンピュータ学会のセキュリティ担当の代表者はインタビューに応じ、「ソフトウェア開発者が自らの記述したコードのセキュリティに対して個人的な責任を負うべきだというHoward(Schmidt)の主張は極端だが、われわれはその方向性に対して概ね同じように考えている。多くの開発者が説明責任を問われるに対して、それが法的なものである場合は特に、抵抗感を抱くようだ。ソフトウェアのセキュリティ要件が厳密にテストされていることを保証するのは、企業側の果たすべき役割だ」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ