Microsoftによると、「Internet Explorer」(IE)に存在するパッチ未対応のセキュリティホールは、同ブラウザの全バージョンに影響することが分かり、米国時間12月10日にこの問題が最初に公表されたときの認識よりも深刻になっているという
Microsoftは、IEの新しい脆弱性に対する攻撃の報告を調査しているが、同社は11日遅くにセキュリティ勧告を更新し、IEの全バージョンが脆弱になっている可能性があると述べた。
同社は、攻撃を防御する最も効果的な方法として、インターネットゾーンのセキュリティレベルを「高」に設定し、アクセス制御リストを使って「Ole32db.dll」を無効にするよう推奨している。
Christopher Budd氏はMicrosoft Security Response Centerの公式ブログで、「われわれの最新情報は、依然として限定的な攻撃が存在し、脆弱なシステムに悪意あるソフトウェアをロードしようと試みている、というものだ」と書いている。
同社はMicrosoft Malware Protection Centerのブログの中で、これまで世界全体で数百件の攻撃を確認したが、この脆弱性を突いた攻撃を仕掛けているサイトは中国のドメインでホストされているようだ、と述べた。
Malware Protection Centerのブログには、次のように書かれている。「これまでに攻撃が確認されたサイトには、多種多様なマルウェアが仕掛けられていた。なかでも多かったのがパスワード窃盗で、『Win32/OnLineGames』や『Win32/Lolyda』のようなゲームのパスワードを盗む新種があった。また、『Win32/Lmir』などのキーロガー、『Win32/Helpud』などのトロイの木馬、われわれが『Win32/SystemHijack』という総称で検出している過去に確認例のないマルウェアもある。この脆弱性を突いた攻撃では、エクスプロイトコードがインターネットのアンダーグラウンドに出回り始めると、さまざまなマルウェアが仕掛けられて広がるというのが、われわれの一致した予想だ」
信頼できるサイトを訪問している人も、SQLインジェクション攻撃の標的にされて悪意あるコードを埋め込まれたサイトの影響を受ける可能性がある、とMicrosoftは述べている。
この脆弱性を修正するパッチがいつリリースされるかは予告できない、とMicrosoftの広報担当者は述べた。同社の次の月例更新は、2009年1月13日火曜日の予定だ。
更新後のMicrosoftのセキュリティ勧告には、ユーザーを安心させる要素がいくつか記載されている。「Windows Vista」上で「Internet Explorer 7」あるいは「Internet Explorer 8」を保護モードで使用しているユーザーは、この脆弱性の影響は限定的だという。また、「Windows Server 2003」「Windows Server 2008」では、IEは「Enhanced Security Configuration」というセキュリティモードで動作しており、インターネットのセキュリティレベルが「高」に設定されている。さらに、この攻撃者が掌握できるのは、ローカルユーザーと同レベルの権限だけだという。また、既知の攻撃では、電子メールを通じてこの脆弱性を自動的に悪用できない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ