Microsoftは米国時間1日、来年発売予定の「Office 12」に含まれるExcel、PowerPoint、Wordの各アプリケーションで、新たにXML(Extensible Markup Language)ベースのファイルフォーマットを採用することを明らかにした。
Microsoft関係者によると、同社が従来使用してきたバイナリ形式のファイルフォーマットがオープンな標準に基づくXML形式に変更になれば、Office 12を導入する企業ではXMLデータを扱うアプリケーションとOffice 12とのデータのやりとりが容易になるという。
XMLベースのファイルフォーマットに移行することで、Officeで作成される多くのファイルは、サイズが小さくなり、また壊れにくくなると、Microsoftでは説明している。
Microsoftの沼本健シニアディレクター(Office System担当)によると、ExcelやWordはすでに一部のXMLデータを扱えるものの、新しいフォーマットが導入された場合には、PowerPointも含む3つのアプリケーションが完全にXML標準に準拠することになるという。新しいフォーマットの最大の利点は、ユーザーが個々のファイルを開かずに各種ドキュメントからデータにアクセスし、その情報を新たな目的に使えるようになることだと同氏は説明する。
「ドキュメントにバックエンドの複数のデータソースや業務ラインのデータソースを統合するなど、多くのシナリオが考えられる。Excelをバックエンドシステム上にある営業データと接続することもできる。そうなれば、コンテンツとデータの違いを意識しなくても済む」(沼本氏)
Microsoftは、新しいファイルが既存のドキュメントと互換性を持つことになると述べ、またOffice 2000以降のバージョンを使うユーザーには無償でダウンロードできる「コンバータ」を配布して、新フォーマットのファイルを扱えるようにすると約束した。Office 12では、新しいファイルを使わないという指定も可能だが、2006年後半の出荷時には、先の3つのアプリケーションでXMLフォーマットがデフォルト設定となる。
さらに、新しいフォーマットを利用するユーザーが古いシステムで作成したドキュメントを開いて保存すると、互換性の問題を簡略化するため、そのファイルは最初に作成したときのフォーマットで保存されるようになる。新フォーマットのファイル拡張子には、Microsoftの既存の表記方法に「x」の文字が付加される。たとえば、Wordで作成したドキュメントにはファイル名に「.docx」の拡張子が付くことになる。