OracleがJBossを買収するのではという噂が数カ月前からマスコミをにぎわせてきたが、JBossはそうした提案を検討しながらも、さらなるベンチャー投資の獲得を模索していく意向であることを、JBossの最高経営責任者(CEO)が明らかにした。
JBossのCEOであるMarc Fleury氏は米国時間3月31日、オープンソースソフトウェア企業である同社は、大企業から定期的に買収の可能性を話し合いたいと持ちかけられていると述べたが、Oracleとの交渉についてははっきりと認めなかった。
「われわれは創業以来、ほとんと毎四半期ごとに(買収に関して検討して欲しいとする)要請を受けてきた。より踏み込んだ話し合いをする企業もあれば、そうでない企業もある。(中略)いずれにしろ、そうした議論を何度も経験した」(Fleury氏)
とはいうものの、JBossが会社の売却以外の手段で資金を調達する可能性もある。Fleury氏は数カ月前にシリコンバレーのベンチャー投資家と会談し、第2次ベンチャー投資の実施を打診したと述べた。
同氏はまた、2004年2月に調達した1000万ドルのベンチャー資金を補完する形で追加資金を調達できれば、新規株式公開に向けた大きなステップになると話している。
「次の段階へ進む手段には、株式を新規公開するか、まさにM&Aを検討するかしかない」とFleury氏は述べ、合併吸収について言及した。もっとも同氏は、現在のJBossの事業は安定していることを付け加えている。
JBossの行く末が盛んに取りざたされるようになったのは、同社が買収されるのではないかという噂が表面化した2006年2月のことだ。
当時「BusinessWeek」や「The Wall Street Journal」は、データベース大手のOracleがJBossとその他2社のオープンソース企業を取得するための話し合いに入ったとする記事を掲載した。2月後半には、JBossの競合社の幹部が、OracleとJBossの交渉は買収価格をめぐって決裂したようだと話した。同幹部によれば、JBossは同社の現在の売上の20倍に当たる金額を主張したのだという。
Fleury氏はこうしたマスコミの報道を「手のつけられない暴徒が突然騒ぎ出したようなもの」と表し、一部の記事に至っては「ばかばかしく、ナンセンス」だと批判した。
「噂がこれほど広まってしまったことに当惑している。われわれは活力をなくしていないし、同社(Oracle)に積極的に働きかけたこともない」(Fleury氏)
Fleury氏は、クローズドソースなJavaミドルウェアを販売している大規模な企業に吸収されることには差し障りがあるとして、自身の以前の発言を繰り返した。ここでいうミドルウェアとは、Javaで記述されたカスタムビジネスアプリケーションを稼働させるものを指し、アプリケーションサーバやポータルなどが含まれる。
一般的に、クローズドソースなJavaミドルウェアのライセンスを販売することで利益を上げ、顧客に製品のソースコードを公開していないIBMやBEA Systems、Oracleなどの企業は、JBossの性質とそぐわないとFleury氏は言う。JBossのビジネスモデルは、ソフトウェアを無料で提供し、サポートに対してサブスクリプション料金を徴収していくというものだというのである。
「これまでもそうだったように、(買収に関する)議論が起こったとしても、われわれの部門管理形態や、現在取り組んでいることを引き続き行う姿勢を変えるつもりはない。当事者双方が常にこれを検討課題として意識するようにしている」(Fleury氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ