公共機関や民間団体で利用できる安全なオープンソース環境作りを目指して、英国内閣府とIBMが手を結ぶことになった。
内閣府のCentral Sponsor for Information Assurance(CSIA)は今週、Linuxが複雑な環境で提供し得るセキュリティを活用して、公共・民間セクターのシステムの安全を確保する計画に着手したことを明らかにした。
この計画では、「SELinux」(Security-Enhanced Linux)とIBMの「Websphere」を組み合わせ、強制アクセス制御(Mandatory Access Control:MAC)機能を実現する。MACでは、知る必要がある人にのみアクセスを許可することでセキュリティを高める。
CSIAのStephen Marsh局長はZDNet UKのインタビューに対し、「Websphereミドルウェアを検討してきた結果、複雑な環境においてセキュリティポリシーを設定可能なSELinuxと一連のアプリケーション群を利用できるという判断に達した」と述べた。
UnixおよびWindowsの環境では、管理者権限によって、本来ならアクセス権を持たない人間がシステムに無制限にアクセスできるようになる、とMarsh局長は話す。「強制アクセスは、セキュリティポリシーによって制御される。セキュリティポリシーは、管理者ができることを明確に定義する。管理者が権限をルートユーザーにまで拡大したとしても、可能な操作はセキュリティポリシーが認めたものに限られる」とMarsh局長は説明する。
ハッカーは通常、ルートユーザーとして管理機能にアクセスする権限を自らに与えることにより、システムを掌握し、全モードですべての権限を手に入れる。
オープンソースソフトウェアは近年人気が高まっている。主としてサーバ分野だが、デスクトップにも次第に利用が広がっている。CSIAは、オープンソースソフトウェアをセキュリティの観点からテストしたいと熱望している。
「学術機関や開発者コミュニティーから他の分野に広がっているLinuxが、複雑なビジネス環境でも機能するかどうかを確かめたかった」と、Marsh局長は述べた。「それはつまり、システム管理者が簡単にセキュリティポリシーを適用できるようにするツールの開発(に向けた)作業を意味する」(Marsh局長)
IBMは5月、提携企業のTresys TechnologyおよびBelmin Groupとともに、イングランドのCounty Durham and Darlington Acute Hospitals NHS TrustでWebsphereの試験運用を開始する。CSIAでは、同Trustの既存のLinuxプラットフォームからSELinuxへの移行はスムーズに行われると予想している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ