「Firefox」がなければ「IE7」はなかった──。有限責任中間法人のMozilla Japanが10月17日に行ったブラウザ「Firefox」の事前記者発表会の席。理事も務めるネオテニー社長の伊藤穰一氏は、近く新バージョンを発表するFirefoxの果たした役割について、このような感想を述べた。
これまで、リアルタイム性や双方向性などオープンな環境がネットの良さである一方、ブラウザ市場は「マイクロソフトの独占状態だった」(伊藤氏)。伊藤氏はこの独占状態を打ち崩すきっかけとなったのがMozillaプロジェクトでありFirefoxあると認識しているため、Firefoxの新バージョン「Firefox 2」 に対する期待は大きい。
Mozilla Corporation最高業務執行責任者(COO)のJohn Lilly氏によると、Firefoxのネット閲覧ソフト市場シェアは全世界で16%程度。2004年11月から2年弱でこれだけのシェアを確保し、Firefoxの存在を意識して開発されたと見られる「IE7」が登場したことを例に出して、伊藤氏は「マイクロソフトが動いたことは我々の成功の一歩」と胸を張った。
ただ、Firefoxの国内市場におけるシェアは8.9%と欧米各国と比べて苦戦ぎみ。これに関して日本語化問題以外の理由についてMozilla Japan理事の砂原秀樹氏は、欧米各国が進んでマイクロソフト製品を使用しない傾向にあることとの違いや、「Sleipnir」など競合製品が多いことを挙げている。
この打開策についてJohn Lilly氏は、「ある機能の追加により3週間で300万件が新たにダウンロードされ、その25%が新規利用者だった。機能強化と改良によりシェア10%を超えればクチコミで15〜20%のシェアには辿り着ける」と語った。
なお、「Firefox 2」の特徴は「より使いやすく」、「より安全に」、「より快適に」──の3つをテーマに、フィッシング詐欺サイト警告機能などの新機能やタブブラウザの改良などとなる。