レッドハット、「JBoss」の新戦略を明らかに

2006-11-17 18:08

 Red Hatは、サーバソフトウェア「JBoss」での増収を図るため、本製品をサポートなしの無償版と、サポートありのサブスクプション版の2つのバージョンに分割することを計画している。

 現在、JBossには1つのバージョンしか存在しない。Red Hatは本製品を開発していた企業を2006年4月に買収してから、これに対するサポートを販売していた。しかし同社の最高財務責任者(CFO)であるCharlie Peters氏は、米国時間11月14日に開催されたUBS Financial Conferenceにおいて、「Linux」で利益を上げるために用いてきた、2つのバージョンを提供するという戦略をJBossにも適用することを検討中であると述べた。

 Red Hatは、OracleやNovellとの熾烈な競争に直面しており、JBossで収益を上げなければならないという切迫した状況にある。JBossは1100万回無償でダウンロードされているが、Peters氏によると現在JBossを「有償で利用するユーザーは非常に少ない」という。

 Peters氏は、「Linuxで実施したことから得た知識をミドルウェアの分野でも生かして同じような環境を作りたい。そしてユーザーに無償ダウンロードから有償サービスへと移行することに価値があることを理解してもらうことがわれわれの課題である」と述べた。

 Linux OSの多くのディストリビューションや、Javaプログラムをサーバで実行するための「ミドルウェア」であるJBossのようなオープンソースソフトウェアは、通常無償でダウンロードできる。そのため、オープンソースソフトウェアは企業に対する脅威であった。Linuxで利益を上げるためにRed Hatがとった戦略は、無償でバージョンの変更が早い「Fedora」と、サポート付きでより安定したバージョンの「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の2つのバージョンを提供するというものであった。

 RHELの基盤となるソースコードは無償で入手可能だが、Red Hatに年間のサブスクリプション料金を支払っているユーザーだけがコンピュータで実行可能な「バイナリ」ファイルを入手することができる。サブスクプション版では、特定のハードウェアやソフトウェアでの動作も数年間保証される。

 JBossについて、Peters氏は「われわれが目指しているものの1つは、RHEL-Fedoraのような開発モデルを構築することである。現在、われわれはまだJBossに対しそのようなモデルを開発中である。JBossを無償で利用するユーザーの多くが有償登録ユーザーへと移行してくれると確信している」と述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]